第52話 代り映えのない日常
―――――――13時20分・・・・プライベートルーム
「皆も公式からの情報を見たり聞いたりしたと思うけど・・・・
この情報はこの時点では少し妙なんだ――――」
「妙?どこにもそんな所・・・見当たらないけど?」
「ムクロ君と一緒に情報を見てたけど私も特に違和感は感じないけど。」
「そうですね・・・私もこの公開情報を見ていると少しモヤモヤします。
なぜ、今になってこの情報を流したのかと・・・・」
「そうか・・・これくらいまとまった情報ならすぐに公式で掲載できたわけだな。
つまり、あちら側が指定する項目のいくつかを公表できる部分を削って組み合わせて掲載したというわけか――――」
俺がコクリと頷きミストやエリの発言が全て合っているとは言わず、ある程度はその通りだと話しながら続きを話した――――――
「そして、公表できなかった・・・掲載できなかった・・・それらを考えるとつまり―――
プレイヤー側かこのグロリアのシステムや権利的にダメージのある可能性が考えられる。
あの女神・・・スヴァルトはこちら側の女神とこのグロリアの世界を乗っ取る気でコンタクトを送ってきた事と、ロネッサの行動からみると真正面からこちらを全滅させてこの世界のゲームオーバーを狙っているんだろう――――」
「そう考えると、掲載と流す情報には大きく制限がかかるって事だね。」
「おっかない話だね。
平和的解決ができないのであれば・・・戦争か・・・」
「だが・・・ただ見ているだけで終わる事も出来ない事も事実だ。
私たちの思い出の箱庭を汚されてたまるものか。」
「そうですね、どれだけ私が眠っていたとしても・・・ムクロと過ごした時間・・・皆とこうやって過ごした時間は確実にここで築いている私たちの大切な思い出です。
私は、大切なモノを守るためならば戦争をするのであれば答えるまでです。
力では解決できない事も多いですが、力なくして守れない物もある事が・・・今だと思います・・・だから私は戦います。」
熱く力説するエリの頭を撫でて落ち着かせながら俺は無茶はしないようにと全員に忠告したのだが・・・・・
「その・・・ムクロ・・・もう少し撫でる事を許します――――」
顔を赤く火照らせながら、リス耳をピコピコ動かしながらエリが喜んでいるこの状況をユリハや皆の視線が俺に集中していた――――
「ムクロ君・・・そんなにケモノ耳が好きだったの?
私も・・・ケモノアバターにすればもっと撫でたりモフモフしてくれるのかな・・・・」
「ユリハ・・・心の声が漏れてるよ・・・・でも、私もウサ耳だよ!
ホラ!私も撫で撫でしていいんだよ~ホレホレ~」
「ム~これ程エリのアバターに嫉妬した事はないぞ・・・・
これも計算された事だと言うのか!!」
「ご主人様、それに皆さん・・・お茶が入りましたのでどうぞ一服下さいませ。
それにしても、ご主人様はどうしてエリの頭を撫でくりまわしているのでしょうか?
その撫で撫では私にのみ許された特権・・・アイデンティティのようなものだったのですが・・・
そうですか、ご主人様はケモノ耳がお好きですか――――」
「いや、皆・・・これは・・・その・・・止めるから、止めるから大人しく・・・」
もはや公式の情報を詮索する事をそっちのけで違う話をしているこの状況がなんだかいつもの余裕のあるプレイベートルームの活気であった。
――――――数分後・・・・
「で、まぁ・・・お茶を飲んで落ち着いた所で・・・・今回の項目のおさらいだが・・・・」
「女神の停止と未知のプレイヤー4人だよね。」
「未知のモブはきっとあの、ロネッサの能力・・・ネクロマンサー系のモブだろうな・・・だがあの執拗に狙う女神スヴァルトの事だ、他にも送り込んで来るに違いないだろう。」
「そうだね・・・あの手のボスキャラは奥の手とか形態変化とか特殊能力とかあったりするのが鉄板だよね。」
「ですが、勝たなくちゃいけない戦いということに変わりはありませんね。
私はムクロが進み続ける先まで援護を止めるつもりはありません。」
エリの発言に全員が賛同し、誰1人として不安な顔をする者はいなかった・・・むしろ皆ワクワクしたような顔で目がイキイキしている―――――
「まぁ・・・皆、無茶はしないでくれ。
ユリハにも
「だから・・・何?私たちはムクロっちとユリハを見送って逃げろって言いたいの?
バカ言わないでよ・・・そんな事したら本当に私たち・・・負け組みたいじゃん・・・・」
「そうだぞ・・・私たちは何があっても一緒だ。
盾代わりでも何でもなってやる、ただムクロ・・・お前自身も無茶はするなよ。」
「そうですよ、いつだって最後はムクロが無茶をする事が多いんだから。」
「だってさ、ムクロ君・・・私だけに言っても無駄だったでしょ?
やっぱり皆ムクロ君と一緒に駆け抜けたいんだよ。
これが、最後になったとしても・・・大切な人と一緒に駆け巡って散れるなら最高だと私は思うから。
だから、一緒に・・・皆と一緒に頑張ろ!」
「あぁ・・・そうだな・・・何を言っても聞かない奴ばかりだ・・・本当にバカばっかり俺の周りに集まるけど、一番のバカはそれを許してしまうオレなんだろうな――――」
そう言って笑うと、その発言に対してユリハ達が笑いながら頷いていた。
「よし、作戦会議はとりあえず終了だ。
ルミ子にも情報集めてもらっているし・・・新たな情報が入るか戦争時間前まで自由行動で・・・・解散!」
「了解~~ねぇ~ムクロっち~最後になるかもしれないんだよ~ほら~私のウサ耳とこの可愛い頭を撫で撫でさせてあげるよ~ホラ~遠慮しなくていいからサ~」
「それは私が先程ムクロから受けていた愛ですよ!
横取りは許しません!」
「あはは・・・なんだか本当に戦争するのかわからないくらいの緩み具合だね。」
「そうだな・・・だが、あの少し硬かったエリもみんなと通じ合って混ざり合ってここまで打ち解けたんだ・・・この
「クーリア、エリエント・・・その撫で撫では私の特権です。
なので、私から先に撫で撫でを主張します!!」
俺は3人に揉みくちゃにされながら、ユリハとミストの呆れ顔と冷たい目線が俺に更なるダメージを与えていた―――――
――――――――――14時23分・・・・プライベートルーム
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