第16話 放課後の寄り道.....
―――――昼休み・・・屋上・・・
俺たちは賑やかに話しながら昼食を取っていた――――
皆と出合うまでは姉さんと一緒にお昼を食べる事もなかったのに―――
変わったなぁ、俺の日常・・・・ソロの時は
今こうやって皆と昼食を食べることができるのも女神のおかげと考えると少しは感謝してもいいと思いながら小さく微笑んだ――――
「悠一君、何かいい事でもあった?」
「どうしてだ?」
「嬉しそうに笑ってたから・・・」
「悠一~まぁ~たグロリアの事でニヤニヤしてたんでしょ~
そう言えば、私も前回の戦いで服がボロボロだからどこかで新しいの頼まないと・・・・」
――――皆に笑った顔を見られていたか・・・
何かをしながらグロリアの事でニヤニヤしないとは言わないが・・・
「いや・・・その、なんだ・・・こうやって皆と出合えてよかったと思って・・・ソロプレイでは得られなかったものが皆となら見つかりそうな気がして笑っちまった。」
「フフ、悠一らしい・・・私はずっと悠一と一緒だから心配することはない。
ずっとずっと悠一の味方だ。」
「私も、悠一君たちと出会えてよかったと思ってるよ。
それに、私も悠一君の味方だよ。」
「悠一が良い事言うから恥ずかしくなっちゃったよ・・・
でさでさ、今日の放課後皆で寄り道でもしない?」
俺は拒否したところ・・・由里や耀子に、たまにはゲーム以外で息抜きしないと・・・と、言われ。
俺は強制参加することになった――――
女史との寄り道って・・・・基本的に何するんだ?
俺はパソコンのパーツとか本とか買いにしか店にはいかないし・・・謎だ―――
どうこう言っているうちに昼食を済ませ放課後に校門前に集合と言い解散した―――
――――――――――?????・・・・・
「昨晩、グロリアにてレイヴァテイン・・・機械天使の起動を確認・・・現在は探知不能状態にあります。」
「了解、このまま探知を続け、情報と計測を維持・・・・観測開始・・・・」
「――――ついに、女神エステリオンが作りだした最高傑作である機械天使たちが動き始めた・・・・我々の存在も今だ観測されていない・・・今のうちにやるべき手は打っておこう・・・・さぁ行きたまえ・・・ミカゲ君」
「―――――――お前たちのゲスなやり方は気に食わないが、俺にもやるべき事がある・・・ヤツが絡んでいるのなら仕方がない・・・・だが、事態の終わりは貴様たちの終わりと言う事を思い知れ・・・・・・・」
「相も変わらず・・・・口だけは達者だ・・・
だが、腕は確かなのも事実・・・・ヤツに接触してさえくれれば用済みの存在だ・・・・フフフハハハ・・・」
―――――――――――14時30分:放課後・・・・
「さぁ~悠一、観念して私たちと遊びに行くよ~」
「本当に行くのか?俺、あんまりそう言った事しないから何をするか知らないんだが・・・・」
「大丈夫、大丈夫。
悠一は付いて来てくれるだけでいいから。
あ、いたいた・・・由里と涼孤先輩みっけ。」
「悠一君、来てくれたんだね。
迷惑じゃなかった?」
「由里さん、大丈夫よ。
悠一は誘いは絶対に断らない子だから。
気にしなくていいわよ。」
まぁ・・・強制参加なんだが・・・ここまできて帰るなんて言う事も出来ないし・・・
仕方ない、寄り道はどこに行くかわからないが付き合うか―――
「それじゃ由里、まず何処に行きます?」
「そうだね・・・ん~アイスクリームでも食べにいこっか。」
「フムフム・・・私も悠一もあまり多く外出しないから色々とよろしく頼む。」
「俺はたまに家から出てるんだけどな・・・・」
由里の提案で俺たちはアイスクリーム屋に向かい商店街方面を歩き始めた――――
俺はブロッサムを起動しルミ子にグロリアプレイヤーの検索とPVP等していないか情報を集めさせた。
「あの、マイマスター・・・私には指示はないのでしょうか?
ルミ姉さんにだけ指示を出して私だけ放置プレイはいささか不機嫌になります、むむぅ。」
放置プレイとかどこで覚えてきたんだ・・・・
まぁ、ルミ子と一緒なら毒されても仕方ないか――――
「失礼です、変態マスター。
私が覚えさせたわけではないです、レイヴァテインは何でもかんでも情報を漁る癖があるので変な言葉も変態マスターの隠していた電子書籍の単語から覚えた可能性があります。」
―――「なッ!?・・・・あの秘蔵の本を読んだのか・・・・まぁ・・いいか・・・ところで、このあたりの検索結果はどうだった?」
「お伝えするのを忘れていました・・・このあたりでPVP等は行われておりません。
クロスリンクしているプレイヤーもいますが探索をしているのかと思われます。
他に指示などはありませんか?
指示がなければ休憩したいのですが。」
「あぁ、ルミ子にレイありがとう。
また何かあったら指示するからそれまで休憩するといい。」
ルミ子から辺りの情報を受け取るとルミ子たちは休憩しにグロリアに戻った―――
「悠一君、何してるのかなぁ?
今はゲームの事を考えるのはダメだよ?
折角の気分転換なんだから!」
俺はブロッサムを切り由里に謝ると、目的のアイスクリーム屋が見えてきた。
「これが、アイスクリーム屋か・・・想像していたイメージよりもオシャレな喫茶店のような作りをしていて読書をしたくなる場所だな。」
「涼孤先輩と悠一はアイスクリーム屋初めてだったっけ?
なら、この耀子ちゃんがアイスクリームのお勧めを教えてあげよう!!」
「私もここは久々に来るから新しいフレーバーがないか楽しみだなぁ。」
着いたアイスクリーム屋は子供向けの雰囲気ではなく落ち着いた作りになっており、大人向けの作りをしていた。
―――――「いらっしゃいませ。」
中に入ると優しそうな女性店員が笑顔でお出迎えをしてくれ、新作フレーバーの味見をさせてくれた―――
「私、この新作にしよっと。
悠一君たちは何にするの?」
「俺は良く分からないからバニラかな・・・」
「私は・・・ハニーミルクティー味にするかな。」
「悠一も由里も普通だね~涼孤先輩はさすが目の付け所が違いますね。
そして、私のお勧めの楽しみ方はやはりコレ!3つ乗せ!!」
耀子が楽しみ方を教えてくれると言うが3つもアイスを食べるとお腹を壊すと思い俺と姉さんはシングルで注文した――――
「で、これからどこに行くんだ?」
「悠一~慌てない慌てない、まだまだこれからだよ。」
「悠一君たちはカラオケとか行った事ある?
その・・もし、よかったら、皆で行きたいな~なんて。」
「私は悠一が良いならどこでもいいわよ。
カラオケも聞いたことはあるけど言った事はないわね。」
俺は流れ的に断れず由里の行きたがっているカラオケに行くことにした。
――――――18時23分・・・・・カラオケ・・・・
初めて来たカラオケ・・・意外と由里も耀子も皆アニソン歌っていて浮かなくてよかった・・・・
俺が知っている曲がアニソンばかりで不安だったが気にすることなく歌えてホッとしていると―――
「悠一君も皆もカラオケ上手だね。
今まで私は1人で歌ってたけどやっぱり皆と一緒だと楽しかったよ、ありがとう。」
「由里の歌も上手だったと思う。
また、皆でカラオケに行こう。」
「由里は大げさだなぁ~いつでも私たち呼んでカラオケでも何でも誘えばいいじゃん。
もぉ~仲間なんだし。」
「そうだとも、私たちは仲間であり大切な友だ。
時間さえあればいつでも呼んでくれ。」
―――今日は本当に楽しい一日だった・・・・俺は久々にゲーム以外で満足した日が送れたと感じていた――――
だが、俺たちが帰り道を歩く中・・・・後ろの方からブロッサムのような音が聞こえ、振り返ると――――
――――――――ピロロロロロロロロ・・・・・・ピピィ―――
「ハハハ・・・見つけた・・・・やっと見つけた・・・・お前が、お前が!!!
ムクロか!!」
俺のブロッサムにクロスリンクを通してPVPの申請が送られた着信音が鳴り響いた・・・
「お前は、誰だ・・・・何故、俺がムクロだとわかった?」
「そりゃ・・・あのバカ共が作った固定周波数計測装置が鳴るまで歩きながらお前だけを探してたんだってのよ、そんなことはどうでもいい。
俺はお前と戦い、勝利さえできればそれでいい。
さぁ、早くやり合おうぜ!」
「悪いんだが、武器が壊れててだな。
現状ではまともなPVPができないんだが・・・・」
前回の塔踏破の際に武器が完全にダメになり俺は現在丸腰の状態であった―――
「ハッ!そんな言い訳・・・誰が信じるかってんだ。
ホラ、さっさとPVP受諾しな・・・伝説のプレイヤーさん・・・・」
コイツ・・・・俺が本当にクリアしたプレイヤーだと知っているな―――
だが、どうしてだ・・・どこから情報が漏れたんだ?
俺は仕方なく手ぶらの状態で挑戦者とやり合うことにした―――
「おい、挑戦者・・・名前はなんて言うんだ?俺は名嶋悠一だ。」
「俺は・・・・
ますます解らないことだらけだ・・・何故俺を探してたPVPを申し込む必要があったのか・・・
でも、挑戦者は拒まないのが俺のプレイスタイルだ・・・武器がない事は大きなハンデになるのだが・・・・まぁ何とかなるか――――
「皆、悪いけど少し待っててくれ。
何か訳ありそうだから戦ってくる――――」
――――――「・・・・・クロスリンクイングロリア」
俺がクロスリンクすると、ショップが並ぶ道の真ん中に1人のアバターが立っていた―――
「お前が御羽・・・いや・・・ミカゲ・・・
久々の挑戦者だな。」
「そうだ、俺が御羽だ・・・こちらではミカゲと言う。
なぁ・・・アンタは昔の2年前の事件の事を覚えているか?
俺の大切な・・・エリエントの事件の話を!!」
―――――「ッ!?」
何故ミカゲが・・・・あの事故の事を・・・まさか・・・
「ミカゲ、まさかエリエントはお前の身内・・・・なのか?」
「そのまさかだ、エリエントは・・・俺の妹だ・・・・
あの事件は表向きでは事故とされていたが、とある施設からの聞いた真相は謎のエラーモンスターにやられたプレイヤーは意識不明になるという事だった・・・今もまだ、現実に戻ることないとのない意識はグロリアと繋がったまま、妹は未だ現実に帰れていない。
そして、その妹の近くにお前が映っている写真を見つけた・・・」
ミカゲは俺の方に写真ファイルを投げつけるとそこには誰が撮ったのかわからないが俺が映っていた・・・・・
「そうか、やっとこの時が来たか・・・・エリエントの言う通りになったな。」
「やはり何か知っているな!
――――何故、妹を見殺しにした!
お前程のプレイヤーなら妹を助けれたんじゃないのか!答えろムクロ!!」
俺は2年前の出来事を今の今まで一度たりとも忘れた事はなかった。
全てはこの時の為――――
「ミカゲ、俺がお前の妹であるエリエントを見殺しにした事は事実だ。
あの時の俺は駆け出しでエリエントに付いてクエストをこなしていた―――
そして、例のエラーモンスターが現れ、エリエントは俺を逃がしこう言った。」
―――私がどうかなったら・・・・貴方たちが私を助けてね。
「そんな事・・・そんな事・・・誰が信じるってんだ!!」
―――――――――PVPモードスタンバイ・・・・
―――――――3・・・・2・・・1・・・・ファイッ!!!
PVPモードが始まりミカゲは勢いよく俺に飛びかかってきた――――
ミカゲの職業は忍者・・・・回避とスピードに優れたクラスであり、ピーキーなキャラでもある。
武器はクナイや忍者刀と言った忍者由来の武器やスキルを使用する―――
―――――――割と・・・早いな・・・クナイを手ではじきながら避けるのが手一杯だ・・・
ミカゲは思っていたよりも腕がよく、クナイ投げと忍者刀を繰り出すリズムが良く俺でさえ避ける事に専念しなければいけない程であった――――
「ミカゲが俺を信じられないのもわかる。
俺はその日を境にソロで強さを磨き、エリエントを助けるために生き抜いて来た。
そして、つい最近サポート妖精の情報操作でやっと、そのエラーモンスターの出現ポイントがわかった・・・・なら、どうするかだ。
今日そこでヤツと戦い、討伐することができれば妹を取り戻せるかもしれない――――
ミカゲ、お前はどうしたい・・・・俺を切るのも良い。
俺は力がない事を建前にエリエントを見殺しにして逃げた事に変わりはない事実だ。
だが、今日その罪を償えるのなら・・・エリエントを助ける事が出来るのであれば俺はどんな事でもしよう。」
――――その瞬間、ミカゲの忍者刀が俺の首の皮一枚のところで止まり・・・・
「本当に・・・その情報は事実なんだな?
あのクソ共はお前を倒せば情報を提供すると言っていたが・・・・
先に情報提供して貰おうか・・・・確信が持てれば・・・エリエントを救える可能性が大きい方に俺は付く。」
そう言うミカゲにルミ子の情報をまとめたファイルをミカゲに送ると・・・・
「こんな・・・こんなにも・・・犠牲者が出ているのに何故、管理者の対応は病院の費用だけで、何故ヤツの対処をしようとしないんだ!!!」
ミカゲは対処しない管理者の対応にイライラして壁を殴りつけた――――
「それはそこにも書いてある通りだ、このゲームに留まる記憶データを体に戻すまではこのグロリアを停止措置を行うことはできない。
何故ならエリエント達、未帰還プレイヤーの意識を完全に消失するからだ・・・・
だから、動けない管理者の代りに俺たちプレイヤーがそのエラーモンスターを倒す事が出来れば可能性ではそのエラーモンスターにやられたプレイヤーの記憶が戻り現実に帰れると考えている。
そして、エラーモンスターを倒す事が被害者を減らすことと被害者を助けることに繋がると俺は信じている。
そして、この情報をミカゲは信じるか?」
「あぁ・・・ムクロの事は信じないがこの情報は信じてもいいかもしれない。
エリエントが戻ったら信じてやってもいいがな――――
あと、あれだ・・・無理に戦いを申し込んで悪かったな・・・・施設がムクロを倒せって言う命令だったから・・・だが、ヤツの情報が手に入って勝ち目がこちらに傾いている今なら施設と縁を切るにはちょうどいい機会だな。」
ミカゲが話をしている中でちょろちょろと出てきていた施設が気になり俺はミカゲに聞いてみることにした――――
「その、ミカゲがたまに言っている施設は一体なんなんだ?」
「そうだな、縁を切ったんだ隠す事でもないな。
ムクロは聞いたことないか?
施設の名前は・・・SLT:セルフライフテクノロジーだ。
その話はまた後でだ・・・・とりあえずそっちのお仲間さんがお待ちだ・・・・俺のフレンドコード送っておくから今日・・・例の場所で落ちあいヤツを狩りエリエントを助ける。
全てはそれからだ、絶対に来いよ。」
俺は頷くとPVPモードが解除されミカゲは俺たちとは反対方向に歩いて行った――――
「皆、待たせて悪かったな、さぁ・・・帰るか。」
「う・・・うん、そうだね・・・帰ろっか。」
「「・・・・・・・」」
俺たちはあまり話をする事もなく分かれ道で解散しようとすると―――――
「悠一君・・・話してくれないんだね、私たち聞いてたから知ってるよ。
エリエントさんを救出する話とか・・・ミカゲさんの事とか・・・」
「・・・・・・・・・」
「そうだよ!私たちPVP観戦モードで見てたけど全部聞こえてたんだよ!
ここまで来て誘ってくれないなんて、水臭いってもんだよ?」
「悠一・・・悠一はこう考えてるのよね・・・・
私たちの誰かがエラーモンスターにやられて現実に帰ってこなかったら・・・って。」
「・・・・ッ!?」
姉さんたちに隠しごとができないと感じ、事情を皆に話すことにした――――
――――姉さんたちの言う通りだ・・・・俺はエリエントの時のように誰かを犠牲にしたり傷つけたくないと思って・・・由里や耀子たちに黙って行こうとしたんだ、ごめん。
大切な仲間だからこそ巻き込みたくないと思っての行動が裏目に出てしまった――――
「だが、由里たちはどうして危険と知って協力しようとしてくれるんだ?」
「だって、エリエントさんを助けるために今まで苦しい戦いをしてきたのなら絶対に助け出さないと!
だって今の悠一君がいるのもエリエントさんのおかげって事だと思うから・・・その・・・」
「そうそう、私たちは仲間でエリエントは悠一の命の恩人なら助けないとね~」
「話は決まったな、私たちは決して負けたりはしない。
絶対にエリエントを救い出そう。」
由里たちは危険を承知でエラーモンスター討伐に協力すると言い俺はその助けを借りることにし、俺たちは自分たちの家に戻り討伐の準備を始めた―――――
――――――――――19時39分・・・・
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