第9話 大型コラボイベント「黄昏戦争」

エステリオンと話しが終わると3名はプレイベートルームに戻され黄昏戦争開始までにやるべき事を考え始めた――――


―――――19時40分・・・・「プライベートルーム」


―――――公式サイトを見ると「エンド・オブ・カオスⅡ」とのコラボイベント開催の大きな広告が出てきた。

内容は、至ってシンプルで・・・あちら側の女神がコラボイベント開始日にイベント内容とクリア条件を発表し、その条件をクリアするとグロリア側の勝利と言うモノであり、コラボイベント開始日までにレベルや装備を整えさせるため、装備獲得クエストやレベル上げ用の特別ダンジョンが解放されるとの事が書いてあった―――――


だが、こういう対策はあちら側も承知の上だろうし、何か罠があるのでは?と色々考えこんでいると・・・・


「こらっ!ムクロ君、私たちは仲間なんだから一人で考えずにちゃんと話してね。」

「そうだよ、水臭いな~私たちの仲なんだから、ムクロっちはドンっと私たちを頼っていいんだからね、もちろん私たちもムクロっちを頼りにしてるからお相子だよ。」

俺はソロプレイの時の悪い癖が出てしまっていた―――

今は、ソロではなくユリハやクーリアたちがいる事を思い出し2人にも気になる点を尋ねてみることにした―――――


「少し、疑問が残っててな・・・グロリア側が何かしらの対抗策を練ってくる事はあちら側は考えているはずだ、だが戦争というワードがどうしても引っかかる。」

「そうだね、レベルも装備も基準点や制限があるわけでもない・・・戦争のワードを考えるのなら権力者の抗争で、私たちは兵士約と言うことになるよね・・・つまりあちら側で参加するを全滅か敗北にさせる何かの要因を行えば私たちの勝ちになるってことかな?」

「普通はそうだよなぁ・・・・」

「2人でそんな難しい事話してないで、クエストにでも行って気分転換でもしようよ。

レベルも装備も整えないといけないし、猶更でしょ?」

ユリハの想像と俺の想像は大体同じで、勝利のトリガーとあちら側の兵について全く情報が無い状態であったのだが、クーリアは難しい話をするタイプではなくまずは目に見える事から進めようと助言し、俺たちは装備やレベルを上げるためにクエストへ向かった――――


―――――20時05分・・・・・砂漠エリア3層「ブルーレン砂漠」


「ってやぁ!!」

「攻撃魔法と支援は任せて!それっ!キュワライト」

「ありがとう、クーリア!っハァ!?」

――――砂漠エリア方面にはプレイヤーがあまりいないことから狩りをして数分・・・・

ゲームの世界とはいえ、アバターが汗をかく感覚や服の張り付く感じがリアルであるかのように感じた。

これで、リザードマン、12匹討伐だな・・・・そろそろデカイのが欲しいところだが――――


―――――ボスンッ!!!!


遠くの砂漠から何か大きな物音がしたと思いそっちを見ると・・・・


「ナニアレ・・・・私、あんなモブ・・・砂漠で見たことないよ~

にしても、暑すぎない?」

「私も砂漠であんなモンスター見たの初めてよ、ムクロ君はあのモンスター知ってる?」

「あぁ知ってる・・・あれは経験値が美味しいが、見た目以上に固くて速いモブだ・・・・

しっかり様子を見つつ確実にやるぞ――――」

クーリアもユリハも見たことが無いモンスターであるのは当たり前で・・・なぜなら砂漠フィールドの一定の縄張りを徘徊するレアボスモンスターで名前は「アングラーリザード」と呼ばれていて、見た目から砂漠のボスサハギンとか変な名前で呼ばれているがサハギンは沼のフィールドに生息するモブであってコイツのように大きくも凶暴でもない。

コイツがなぜ凶暴なのかと言うと、縄張り近くに居るものならプレイヤーだろうがモブだろうが関係なく捕食するところである―――――


「クーリア、ユリハ、少し先にあるモンスターの骨がある場所まで近づいてから、クーリアのバフで強化してから戦うぞ・・・いいな?」

俺はアングラーリザードに気づかれないよう、小さな声で作戦を言うと3人でゆっくりと移動し指定された位置に着くと、クーリアにバフをかけてもらうと戦闘が始まった――――


「フリーーーズボルト!!」

4連星突きフォー・スターレイン!!」

「クイックシフト・・・からの、ブレイブダンス!!」

クーリアの氷魔法がアングラーリザードの四肢を凍らせ、俺とユリハの技が体にヒットしたのだが――――


――――――ギャァァァアァァス!!

凍らされた瞬間に防衛本能でアングラーリザードは表皮を高質化させ俺とユリハのスキルをガードし、イマイチ体力バーを削る事が出来なかったのだが案外魔法攻撃が効くらしくアングラーリザードの見動きは封じることに成功していた。


「クーリアは何か自慢のスキルとか無いのか?こう・・・一発でこのアングラーリザードを消滅させるほどの魔法とか――――」

「あるよ、とっておきのユニークスキルの魔法+が・・・

それ唱えるまで少し時間かかるから防衛宜しくね!!」

クーリアがそう言うとアングラーリザードが先程鳴いた事もあり複数のアングラーリザードが現れた――――


「くっ、ムクロ君・・・数が多いよ・・・どういう作戦にする?」

「そりゃ、もちろん・・・クーリアが唱え終わるまで防衛作戦だ!」

俺が滅茶苦茶を言うのはいつも通りだが、その滅茶苦茶に付き合わされるユリハもだんだん俺のやり方に慣れてきたらしく――――


「ムクロ君ならそう言うと思ってたよ。

どうせ、クーリアを信じるとかそういうのよね。

でも、それでこそムクロ君ね・・・フフ」

「なんだよ、茶化すなよ・・・今は一匹でもクーリアに近づけさせないようにしないとだ。」

俺とユリハは必死に追加で現れた3体のアングラーリザードを相手にしていたが、魔力の流れでクーリアが魔法を仕掛けると思い俺とユリハは距離を取り岩陰に避難した――――


「ムクロっちもユリハも無茶しちゃって・・・私もちゃんと役割果たさないとね・・・・

我が身に宿りし五つの光よ、答えよ・・・・氷の光は世界を凍てつかせ、何人たりとも時が止まる・・・その世界には慟哭すらなき静寂な世界・・・舞い降りよ! 静止する世界の氷塊クロノスフリーズ!!」

大きな氷塊が落ちてくると同時に砂漠が少しずつ青白く凍てつき、アングラーリザード4匹を一瞬で凍りつかせ氷塊の衝突で4匹は粉々に消滅した――――


「いやぁ~久々に気合入れて唱えたら凄いの出ちゃったな・・・・めんごめんご。」

「クーリア、すごいよ!こんな氷魔法使えたんだね!!」

「すごい威力だったな、岩陰に隠れていたが辺り一面が氷の世界になったな・・・」

辺りを見ると砂漠フィールドの一部が青白い氷結された風景になっていた。

そして、その破壊力は4匹のアングラーリザードを容易く粉砕してしまう程であった――――


「クーリアのおかげで4匹分の経験値も入ったし、お手柄だな。」

「うん♪もっと褒めてもいいのよ!

でも、この固有魔法は詠唱に時間がかかるのと、属性がランダムなんだよね・・・」

「ランダム魔法でも凄い威力だよ、本当にお疲れ様、クーリエ!」

俺たちはバトルリザルトを確認しプライベートルームに戻り一息つくことにした――――


―――――――――――――20時36分・・・プライベートルーム帰還・・・

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