エピローグ
市ヶ目市内、束の間の平和の中で
ベッドの上で掛け布団にくるまっている舞は、少しだけ目を開けた。
部屋の中は、外から差し込む陽光に優しく照らされていた。
舞はそれを見て、布団を頭から被って、
「……って、今日学校っ! しかも弁当っ!」
舞は慌てて起き上がると、パジャマのまま一階のリビングに駆け降り、キッチンまで走った。
炊飯器でご飯が炊けてるのを確認してから、凄まじい速さで料理の準備を始める。朝という事を考慮し、蛋白質を取る事が可能で、尚且つ軽いモノを作る事に決め、キッチンの棚に置いてある小さなデジタル時計を見る。時刻は五時半。
「先起こし行くか……!」
舞はそう言うと、心咲の部屋に向かった。
朝食を二人分作り、舞は料理をテーブルに運んだ。炊きたての白いご飯、ワカメとジャガイモの味噌汁、手作り鮭フレーク入りスクランブルエッグ。
「いただきます」「いただきま――」
舞がしっかりと言い、心咲が欠伸混じりに言った。
舞は黙々と食べ、心咲は眠そうに目を擦りながら食べる。
先に食べ終えたのは舞で、ごちそうさまと言って空になった食器を持ち、弁当を作りに向かった。
一時間後。
「あー間に合ったー……」
制服に着替えリュックを背負い、弁当袋を左手に持った舞は、玄関先で溜め息をついていた。
「いつもごめんね……」
心咲が申し訳なさそうに言った。
「ん? 大丈夫だよ、私も弁当の中身に凝りだそうとしてたし」
舞が肩をすくめて言った。
「さて、それじゃ行こっか。椋も待ってるだろうし」
「うん!」
心咲の返事を聞いて、舞はちらりと振り返った。
「…………」
少しの間家の中を見て、そっと微笑んだ。
前を向き、ドアを開け、歩き始めた。
魔法少女Customs 秋空 脱兎 @ameh
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