『エボルブレスレット』の口調

「うー、大変だった……」


 エドに奢ってもらったハンバーガーを手に女子更衣室に戻ったミチルは、備え付けられたベンチにヘナヘナと座り込んだ。


「魔法を使う時にガク引きしてるから直せ、か……」


 ミチルはそう言うと、ハンバーガーの包装紙を開いた。『Σバーガー』のダブルチーズバーガーだった。


「……いただきます」


 ミチルは、呟いて、ダブルチーズバーガーにかじりついた。


「……おいし。そういえば、『エボルブレスレット』にバッテリーとか……なさそうだけど、あるのかな?」


 ミチルは半ば一人言のように言ったが、


『Noproblemだよ、Master。私にバッテリーはいらないの。だって太陽光とそれ以外の光から既存のソーラーパネルよりもずっと効率的に電力を生み出してるからね』


 『エボルブレスレット』が返事をした。


「…………え、フル英語じゃないの?」

『HAHAHA、製作者があまり英語が堪能じゃなくてねぇ、戦闘中以外はこうして日本語で話すようにsettingされてるのよ』

「あなた……『ベルトさん』みたいな人が友達にいない?」

『誰、それ?』

「…………いや、気にしないで」

『Okay、my master.』


 二人が会話を打ち切ったその時、突然サイレンが鳴り響き、スローレイダーに出動要請が入った。


『どうやらビーストのようだね』

「じゃあ……ハンバーガー食べて、早いとこ行きますか!」


 ミチルはそう言うと、急いでダブルチーズバーガーを食べ始めた。

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