ゴールデンウィーク①

5月、世間そして学校は大型連休に入った。この連休中はひたすら仕事をする生徒、土日同様実家で過ごす生徒、そして帰省する生徒がいる。俺もこの連休中は帰省する予定を入れた。


東京駅から新幹線で約1時間半、名古屋駅に着いた。そこから地下鉄で約30分。さらに駅から5分ほど歩く。これでようやく俺の実家に着いた。時刻は正午を回っていた。俺の実家は築50年のボロアパートだ。そして家族は母親だけ。親元を離れて1ヶ月、今頃何しているのだろうか。


「母さん、帰ったよ」


俺は実家の玄関を開けると一声出し、母さんが居間から来た。


「お帰り、優斗。寂しくなかった?」


俺は母さんの声を聞き、自室に荷物をまとめた。今は私物がほとんど寮にあるので大分空きスペースがある。


母さんの名は渡辺優子わたなべゆうこ。8月12日生まれ・32歳・身長160cm・A型。茶髪のストレートが特徴。詳しくは知らないが、高校在学中に妊娠してそのまま中退。そして俺を産んだらしい。そのせいか親から半ば縁を切るように俺を女手ひとつで育ててきた。前に父親は誰なのか聞いてみたが、母さんからは一切語られなかった。


「優斗、いつ東京戻るの?」


「日曜の朝には実家出る」


「高校生活は楽しい?周りが女の子ばかりで苦労してない?」


「大丈夫。みんな優しいしなんとかなってるよ」


「そう。ならよかった」


俺は母さんとの話を済ませると、母さんが用意した昼食を食べ始めた。この後母さんは仕事で出ていく。帰るのは日付が変わる頃だとか。


さて、どうするか。とりあえず今日は休もう。明日は中学の同級生に顔を合わすか。暇な奴いるかな。




結局この日俺は実家で体を休めた。

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