第134話 進太郎のクリスマス その1

ああ、俺は世界中の12月24日生まれの中でもハードな男だと思う。


12月24日のクリスマスイブ、それは進太郎・赤星・ヘルグリムの誕生日

でもあった。


ヒーローと魔界の皇太子と学生の三足の草鞋を履く彼のクリスマスイブは忙しい。


何だかんだと期末試験などを乗り越えて迎えた、クリスマスイブ。


「「おめでとうございま~~~~す♪」」

クラッカーの音でメイド達に起こされた進太郎、数十人のモンスターメイド達

によりもみくちゃにされ洗顔に歯磨きに着替えをさせられたと思ったら

わっしょい♪わっしょい♪


と胴上げで晴れ晴れとしたワインレッドの空の下まで運ばれ、カボチャの馬車ならぬ山車の上にドレスアップした三メイド達と乗せられた。


「・・・・何で目が覚めたら、正気度が下がりそうな祭りに紛れ込んでるんだ俺?」

カボチャパンツな王子様服に錫杖持たされた自分の姿と周囲を見比べる。


周囲にはドンコドンコと大太鼓の音が鳴り響き、見物している国民達が笑顔で

進太郎の名を叫んでる。

「いやでちゅね~♪今日は殿下のお誕生日のお祭りでちゅよ~♪」

ピンクのフリフリドレスを着たアニーが、言ってくる。


「今年の殿下の生誕祭は、地球のお祭りを取り入れたそうです♪」

エメラルド色のドレスを着たメイが語る。


「・・・・帝国と縁ができたアステカと台湾と日本のお祭りを混ぜたパレード。」

紫色のドレスを着たフランが呟く。


「・・・・・うん、もうカオス過ぎてお腹いっぱいだけどリーファは?」

諦めつつもリーファを探して山車から顔を出し、国民に笑顔で手を振る。


空を見れば、赤青黄紫白黒と色とりどりの東洋の龍達がパレードに追従するように

空を舞い踊り自分達の山車の前では赤と白と緑のクリスマスカラーなアステカ戦士

の恰好をしたリーファとその親族がアズテックダンスを舞い踊って進んでいた。


リーファが進太郎に気が付き、笑顔を振りまき投げキッスする♪


観客の魔界の民達がそのパフォーマンスに、流石殿下♪

などと歓声が上がり盛り上がる。


その後、進太郎の記憶は数時間ほど抜け落ちた。


次に進太郎が意識を取り戻したのは、魔界ではなくいつもの我が家であった。

「・・・・今は昼か、記憶が飛んだぞ俺。」

目覚めてパレードに参加してから、意識が戻るまでの記憶がない進太郎。


「おめでとうございます、旦那様♪」

そんな進太郎を膝枕していたのはリーファ、格好はアステカ戦士ではなく

青いチャイナドレス姿で進太郎からはリーファの胸しか見えない。


「ありがとう、所で俺はこのままこのまま寝てていいかな?」

正直、進太郎は起きて何かする気が起きなかった。


だが、リーファは無情にも首を横に振る。

「・・・・・私もこのまま旦那様を独り占めしたいのですが、そうも参りません。」

リーファの言葉に、進太郎はカオスな誕生日が続くと覚悟した。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る