第124話 血のハロウィン 破の1

敵も味方も、ハロウィンの準備を着々と進めていた。

「・・・・殿下、出かけた。」

フランがぼやく。


「殿下の奮闘されるご様子を、撮影したかったのですが。」

メイがビデオカメラを残念そうに見やる。


その日の新聞の折り込みチラシにメイド達は嫌な予感がした。

「・・・・・お台場ケルト文明展?ウィッカーマンが来る?・・・怪しいですわ。」

リーファがチラシを読み上げる。


ウィッカーマン、ドルイドの祭具で生贄を中に入れて焼いたと言われる網細工人形。

「ハロウィンがケルト由来とはいえ、この時期に怪しいでちゅねえ?」

アニーも訝しむ。


「もしや、吸血夜会では?東欧支部というよりはイギリスっぽいですが」

メイが無自覚に正解を述べる。


「・・・・私達も、お台場行く?・・・・殿下、来るなって行ってたけど?」

フランも、稽古に出かけた進太郎を案じる。


「オフコースでちゅよ、ついでに殿下とお台場でデートとか♪」

アニーがフランに肯定する。


「抜け駆けですかアニー!!」

メイが叫ぶ


「この間、リーファと組んで抜け駆けしたのはメイでちゅ!!」

アニーがメイを睨む。


「・・・・・これは、漁夫の利?」

フランがポンと手を打つ。


「「させません!!」」

アニーとメイがフランにハモる。


このように、メイド達の基準は進太郎がメインであった。


だが、彼女達もヒーローの一員で世のピンチには立ちあがる。


「では皆様、旦那様の所へ参りましょう!!」

リーファの言葉に全員が頷き、彼女達はお台場へ向かった。


進太郎の為、彼と暮らす世界の安寧の為に。


一方、お台場の進太郎達は?

というと、司会の人気声優の桜杉真一さくらすぎ・しんいちとダンスの稽古をしていた。


本番でも使用する、西展示場の屋上ステージでショーの〆は桜杉のライブ。


「ヒーローの皆さん、それじゃあよろしくお願いしまっす♪」

爽やかな桜杉の声に従い、配置に付いたヒーロー達。


明日が本番、これが最後の通し稽古。


ビートパンクのリズムと桜杉の歌に合わせて変身したヒーロー達が舞い踊る。


デーモンブリードのパートではセンターにテレポートで現れて恭しく一礼し

バッと両腕を広げ闇で出来た蝙蝠達を空へと放ち一人ナチュラルスピンターンを

しながら戻る。


レッドブレイズは、ダイナミックに自分で口から火の棒を生み出しリンボーダンス。

そして火の棒を飲み込み消して戻る。


そして、ジャスティスなど出演ヒーロー達が見事なダンスを披露していく。


そして、歌とパフォーマンスが終わり

「皆さんお疲れ様でした、明日の本番も盛り上げて行きましょう♪」

桜杉の言葉で稽古が終わる。


ヒーロー達は、後は当日を待つだけのはずだった。













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る