第116話 ちょっとだけ未来とクロス

「父上~♪可愛い娘に、お小遣いを下さい~♪」

母によく似た、赤毛の少女が部屋に入ってくる。


洋間に書類がタワーでなく重箱のレベルで積まれている執務机、そこだけ見れば

どこかのオフィスだが室内全体を見てみると。


机の周りには、頭頂部に一対のネジが生えた紫毛の赤ん坊がハイハイしていたり

水が張られた盥の中で鹿の角を生やした赤ん坊と耳が鰭になってる赤ん坊がじゃれ

ついているわと子供の園だった。


「パパは仕事中だ、お前の弟妹達を連れて遊びに行くなら3千円まで支給しよう。」

威厳を出しているつもりの進太郎だが、スーツの上には胸に二人、背中に二人、頭の上に一人と赤ん坊を装備していた。


チョバムアーマーならぬ、コドモアーマーである。

「・・・・あはははは♪それでは失礼いたしました・・・・!!」

進太郎の娘の動きが止まる、目の前の父親から闇が溢れ出ていた。


「・・・・答えろ、まさか自分の能力を育児に使う日が来るとは思わなかった。」

68の権能の一つ、眷属の管理と支配を発動して娘の動きを止める進太郎。


・・・・・進太郎30歳、子沢山なパパになっていた。


「・・・・・と言う夢を見たんだ。」

まほろば町の学校への交換留学と言う名の出張から、桃ノ島にある

旧桃川学園、現在は力華学園りっかがくえんに戻って来た進太郎が

元気達クラスメートと話をしていた。


力華学園りっかがくえん、リーファの漢字表記である力華の名を冠した通り台湾の財閥に買い取られて再編中の学校だ教職員の雇用は継続で昇給。

リーファが生徒兼理事長として。学校づくりに励んでいた。


「・・・・・それ、予知夢じゃね?」

元気が答える。


「お嫁さんが4人もいればね、てゆうか家族計画きちんと立てなさい!!」

進太郎にとって、人間界での母ポジションの春子がハリセンで進太郎をはたく。


「痛いよ、春子さん夢じゃないか。」

進太郎が抗議するもスルーされた。


「そういえば、ぼっしーに変わって刑殿があちらに向かわれたそうでござるな。」

博士が思い出したように言う、まほろば町の学校とは正式に姉妹校の提携がされ

今度は刑こと狸のニュータントである隠神刑が交換留学で通っていた。


まほろば町に潜む吸血夜会の陰謀は挫いたので、しばらくは東京に行く用事は

まずないはずだった。


進太郎の見た夢は、元気の言った通り恐ろしい事にほぼ現実になる事をこの時はまだわかるわけがなかった。


「しばらくは、こっちでのんびり暮らせるよ。」

進太郎は、リラックスしていた。






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