第115話 リーファ、学校買ったってよ

「殿下、愛媛の学校が破産したってニュースになってまちゅ!!」

アニーが、進太郎の部屋にドタドタと駆け込んでくる。


「・・・・・・え?マジで!!」

聞き返す進太郎。


「マジ万力でちゅ!!良いからリビングへ!!」

アニーがガッチリと進太郎の腕をロックして、彼をリビングへと引きずって行く。


ドナドナとリビングへ連れてこられた進太郎が、メイド達と見た物は?


私立桃川学園の運営母体である企業が倒産し、本校の理事長らが記者会見している

シーンを放送するニュース番組であった。


本校が廃校なら、イレギュラーズ達が所属している桃ノ島分校も道連れだ。

「ど~しようこれ。」

唖然とする進太郎、本校は知らないが分校の仲間達や教師は大事だ。


「まほろば町の学校に正式に編入?」

フランが聞いてくる。


「せめて、ご学友や漫研の皆様だけでも救済できれば良いのですが?」

メイも悩む。


ヒーローも、企業の倒産は門外漢である。


では、国家であるヘルグリム帝国ならどうか?

というと、人間の世界に下手に干渉するのは政治的なトラブルを引き起こすので

迂闊に介入はできないし投入できる大量の資金もない。


そんな中、リーファだけはご機嫌で電話をしていた。

「台湾のおじい様、お久しぶりです♪実はお願いがありまして私が通う学校が運営に失敗してこのままでは廃校になってしまいますの、結婚祝いのご祝儀に買い取って

プレゼントしていただけませんか♪」


通話の相手は彼女の父方の祖父、台湾で勢力を誇る財閥を裏から治める龍人の

ニュータント達の長らしい。


数分ほどの通話の後で電話を切ったリーファが、満面のスマイルを進太郎に向ける。

「・・・・旦那様♪ 私、学校買ってしまいました♪」


さらりと通販で欲しかった商品を買ったような感じで告げるリーファ。

「「・・・・・・リーファ、恐ろしい子っ!!」」

進太郎達の顔に縦線が走る!!


ドラゴンは財宝を溜め込んで寝床にしていると聞くが、東洋の龍も同様らしい。

西遊記で、城に住み財宝を蓄えていたのを孫悟空に差し出していたシーンを進太郎

は思い出していた。

「・・・・それと、おじい様から旦那様に伝言です。来年の春休みに私と二人で遊びに来るようにとの事です、楽しみですね。」

凄い笑顔で告げるリーファ。


「・・・・・・遊びに来い、御挨拶って事だな。」

義理とはいえ親戚づきあいはきちんとせねばなるまい、今回の廃校回避に

助力してくれたのだし絶対に断れない流れだ。


廃校のピンチを越えたと思ったら、義理の祖父にどうすれば好印象を与えて認められるかと言う別のピンチが訪れた進太郎であった。










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