第96話 吸血鬼化薬騒動その5
連児を襲った吸血鬼から逃げた進太郎、東京の拠点である大使館別館へ舞い降りる。
着地して解放した連児が嘔吐したのは仕方なかった。
年配の人狼メイドを呼んで掃除を頼む。
「あ~、まだ気持ち悪ぃ~っ!! お前もっと丁寧に運べよ!!」
連児のクレームには
「悪い。・・・・けど、お前の友達と下手に戦えないだろ?」
と謝る。
「そーだ!!デブだったシンジの奴がイケメンにっ・・・・・許せねえっ!!」
連児の怒るポイントはずれていた。
「それより、自分の知り合いに急いで連絡して家と家族を保護してもらえよ。
・・・・・・あの類は、お前の家に乗り込んでお前の家族を殺すぐらいするぞ!!」
さっきは連児を連れて逃げるしかなかったが、吸血夜会の関係者ならそれ位やる。
進太郎の剣幕に驚いた連児が、自分の携帯で連絡する。
連児から離れて会話を聞かないように耳をふさいだ進太郎。
視覚からの様子だと、連児は相手と揉めながらも承諾を得たようだ。
「・・・・・ふう、冥夜の奴に怒られちまったけどこれで俺の家は大丈夫だぜ♪」
どうやら連児の家と家族は保護されるらしい、どうされるかは知らないが。
アニーとは違い、リアルに動物な狼の頭をした人狼メイド達の笑顔にビビった連児は
泊めてくれと言うのを飲み込み交通費を貰い家に帰ることにした。
結論から言うと、シンジによる真逆家襲撃事件は起こらなかった。
進太郎が逃げた後、シンジは自分の家に戻ったのである。
それが彼の終わりを意味すると知らずに。
「・・・・・・シンジ、あなたはダメな子ですね。」
太間家の浴室、血で満ちた浴槽の中でラテン系の美女がシンジを抱きしめている。
「・・・・・・・ラ・ルロロナ様・・・・た、助けてくださいっ!!」
シンジはおびえていた、血の風呂は暖かかったが彼は震えていた。
「・・・・・・あなたは、生贄になってもらいます私の可愛い子。」
ラ・ルロロナ、泣き女の名の通り涙を流しながら彼女はその手でシンジの胸を貫き
その心臓を抜いて喰らった。
後日、踏み込んだヴィラン対策室は凄惨な殺人事件の現場と吸血殺人事件の証拠を
手に入れた。
吸血殺人事件の犯人が未成年である事や被疑者死亡である事から、シンジの犯行は
吸血夜会中米支部のヴィランの犯行と言う事実の裏に隠蔽された。
そして、世間にはマクタコーポレーション重役一家殺人事件のニュースが流れた。
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