第61話 空中盆栽対空飛ぶ鯨 その2

「時は来た!!魔界の海も空も陸も制する覇王!!出よダイマッコウ!!」


大使館の庭で数字や記号による魔法円描かれたテーブルクロスサイズの

布を敷き、ゴート66世が仰々しく叫ぶっ!!


すると、魔法円がまばゆい光をビーム砲のように天へと放つ!!

ヘルグリム帝国の面々は、召喚の儀式を驚きの表情で見ていた。


ダイマッコウ号、それはヘルグリム帝国で使用されている生きた万能戦艦。


魔界の海に生息する、マッコウクジラに似たモンスターを捕らえて改造して

生産している帝国の海と空の守りの要だ。


何からの守りかといえば、他の魔族の国などからである。


その守りの要のはずのダイマッコウは今、水を張った洗面器の中で戯れていた。


「・・・・・・何か、聞いた話と違くないおじいちゃん?」

大使館の庭で、驚きながら召喚の儀式を見ていた進太郎がぼやく。


「可愛いでちゅね~♪」

アニーがダイマッコウ号に、愛媛名物のじゃこ天を食べさせている。


ダイマッコウ号の方も、ぐえ~と鳴いて美味しそうにじゃこ天を食べている。

進太郎も、じゃこ天で餌付けをして遊ぶ。


召喚されたダイマッコウ号は、潜水艦のおもちゃサイズでゆるきゃらみたいな

可愛い姿になって人間の世界にやってきた。


「・・・・・・あのダイマッコウ号が、まさかこんな姿に!!」

魔界で実物を見たらしいメイが驚く。


「・・・・・・派手なエフェクトの割りに星が低そう。」

フランが、どこかのガチャみたいなことを言っている。


「ダイマッコウ号自身のエネルギーを使って呼んでいるから小さいんじゃ。

海に漬けると、本来の50メートルサイズになるんじゃよ。」

ゴート66世が説明する。


「とりあえず、蒲鉾屋でじゃこ天を買い占めてから海岸に行くか?」

ぐえぐえ鳴いてじゃこ天を求めるダイマッコウ号。


決戦が迫っていても、ヘルグリム帝国の面々は通常運行だった。






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