第42話 里帰りと挨拶回り その4

アニーの実家は、北欧の妖精の家みたいな牧歌的な感じだった。

リビングには暖炉があり窓の近くに安楽椅子が揺れて、編み物が縫いかけ。


窓の外のに見える山は、進太郎がデーモンビームをぶっぱなした山だ。


メアリーを安楽椅子で休ませて他の皆で手伝いながら、パンケーキを焼く。


五段重ねでシロップが多めのパンケーキを全員分食卓にアニー達が並べる。

フランが冷たいお茶を入れて回ると、おやつの時間ができあがった。


「狩りばかりしてたあんたも、本当にメイドらしくなったねえ♪」

メアリーが微笑む、アニー達は今までで一番メイドらしい事をしていた。


「え~、狩り楽し~よ?ママ?」

アニーの妹の一人、マーガレットが言う。


「エイミーも、狩り大好き~♪」

妹二人目のエイミーも狩りが好きらしい。


「ジョーも~♪」

三人目のジョーも口の周りをシロップでベタ付かせて言う。


「まったく、誰に似たんだか?この子は娘ならレディーに育てないと。」

メアリーは腹を撫でる。


「・・・・・・どう考えても、陸軍大臣のママでちゅよ?」

アニーがつぶやく。


「あたしゃ立派なレディーだよ!!」

メアリーが抗議する。


話は変わってセレンの話題に

「あ~、あれも独り身だからねえ。殿下次第じゃないかい?」

メアリーも、大概だった。

「私達はいやでちゅ~!!」

アニーがぶ~たれ、メイとフランが同意する。


「・・・・・・・うちの軍のトップって?」

進太郎は天を仰いだ。


おやつタイムを終えて、後片付けも終わるとマーガレット達に

進太郎は服のすそを引かれ狩りに連れて行かれた。


そこで彼は人狼の少女達が、狸達を疾風のように仕留めて行く正気度が下がりそうな

光景を目撃したのだった。


「・・・・・・恐ろしい子っ!!」

驚愕する進太郎、アニーは

「懐かしいでちゅね~♪」

と微笑ましく見ている。


その後、滞在中の食事は狸のステーキや狸のコロッケに狸のシチューと

狸肉尽くしだった。


狸肉尽くしのお弁当を作ってもらった進太郎は、麓の鉄道の車内で

友人の隠神刑は絶対帝国内では生きていけないだろうなと思った。









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