OVER

「はっ……、ぐっ。ああ……ぐっ」

 右手で心臓を掴むように胸を押さえ、グリップを掴み親指のボタンを押したままの左手を見る。

 涙を流し、激しく嗚咽する。

「ぐっ、ううっ」


「敵機撃墜。帰還するよ」

 何が起こったのか。全く分からなかった。

 一体何がどうなったんだ? 確か相手の後ろを取っていたんだ。相手の動きに付いて行くために、同調を強くしていって……、それで。

 親指、小指、手の平と順に放し、震える左手を見る。


「違うよ。アンタじゃないよ。最後に、ボタンを押したのはあいつ自身」



 堤恭助

 総戦績 七勝

 騎馬  ビビ

 決り手 ミサイル『アサシン』

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