白昼の夜衛

Next Stage

「ご主人サマ。よろしくお願いするヨ」


 階下に降りた僕を待っていたのは、チャイナ服を着たメイド。


「旦那さま。大丈夫ですか?」

 とウミネコは心配そうに僕を労う。不戦勝だと言うのに、心を痛めていると思っているのか。やはり僕の事を分かってくれるのはウミネコだけだ。

 ありがとう、と笑顔で返す。


「ワタシ、鈴々デス。ご主人サマの事、もっとよく知りたい」

 と俯き、胸を寄せて寄ってくる。夜を伴にしたい、という事か。


「今回も、一人だけ? …………に決まってるよね~」

 と笑うとウミネコは出した斧を引っ込めた。

 次のパートナーを兼ねるのだから当然か。もどかしくてもそれがルールなら仕方がない。


「あたしだよね~」

 風華が当然である事のように笑いながら言う。昨夜のスイーツの味を思い出すとそれも悪くないと思うが。

「次は、鈴々にお願いするよ」


「旦那さまぁ……」

 ウミネコが両眉の端を八の字に下げる。

「メイドが城を去るのは自由なんですよ。お気を付けくださいませ」

 チェコフがこっそり耳打ちするように言う。

 そうなのか……。

「いや……。あの男の子も、戦う事なく散って無念だと思うんだ。せめて、次の戦いで鈴々の機体を使ってあげたいんだ。彼の代わりにね」

 そういう事なら仕方ない……、とウミネコも風華も納得したようだ。

 我ながらいい言葉だったと思う。本当はあのガトリングを撃ってみたかったのと……、と鈴々の方を見る。


 やっぱり新しい子がいいよね。

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