第203話 新居へ

我が家に戻ると、新しいダンジョンを購入したことをみんなに伝えた。どんなとこだよとみんな興味津々で聞いてくる。

「大きな城だよ。ちょっと色々問題があるから、みんなに少し協力して欲しいだよね」

「メイル、なんでも協力するよ。お人形さんとか作ろうかな、部屋に飾ると華やかになるよね」

メイルは嬉しそうにそう語る。

「そうじゃな、建物とか直すところがあったら言ってくれ、ワシにもそれなら手伝えるじゃろ」

メタラギは控えめにそう言ってくれる。


「とにかく早く見てえよな。どうせなら、明日早速引っ越そうぜ」

ミュラーナがそう言うが、さすがにすぐに引っ越しとはいかないと思う。

「そうしたいんだけど、ちょっと問題の解決が先かな、それが終わらないと引っ越しできない」

「なんですか、その問題って・・」

アルティの言葉に、みんな同意するように俺を見てくる。


「いや・・あの・・」

俺が中々言い出せずにいると、リンスが代わりに行ってくれた。

「新しい物件ですけど、出るんですよ・・・」

「出るって? 何が出るんや」

マゴイットの質問に、リンスは少し間を貯めて答える。

「・・・幽霊です」


「・・・・・・なめとんか紋次郎! 何、事故物件買ってきとるんや。返して来いや! すぐに不動産屋行って、返してこんかい!」

「無茶言うなよマゴイット・・・」


やっぱみんな幽霊は怖いみたいだ。ゴーストとかは全然平気なのに、なぜ幽霊はダメなんだろう。


「とにかく、その幽霊を退治しようと思うんだけど、その手伝いをして欲しいんだよ。誰か一緒に来てくれないか」


俺の願いに、まず答えてくれたのはアテナであった。

「私がお手伝いします。ただ、私の攻撃は、アストラルボディへの有効攻撃力の値が低いです。なので、あまりお役に立てない可能性はございます」


確かに、アテナは戦闘用アンドロイドだけど。幽霊を攻撃するようには作られてないだろうからね。


「俺も行くぜ、幽霊なんか信じてないしな」

そう言ってくれたのはヴィジュラであった。その言葉は心強い一言であった。それに続いて、リュヴァもこう言ってくれる。

「リュヴァも・・一緒に行く・・」

リュヴァは、カリスの屋敷の時も一緒に来てくれたのを思い出す。


「他は誰かいないか、一緒に来てくれる人! 広いからある程度人数が欲しいんだよね・・・」

「仕方ないですわ・・私も行きますわよ」

アスターシアが悲しそうな表情で参加を表明してくれる。

「スフィルドとかアズラヴィルは幽霊怖いの?」


反応のない二人に、そう聞いてみた。

「ごめん、紋次郎。僕は怖くはないんだけど、神族は幽霊へは敬意を払わないといけないんだ。だから退治とか無理だ」

「アズラヴィルの言う通りです。紋次郎、なので私も行けません」

そう、アズラヴィルとスフィルドが答える。そういえばニャン太も同じこと言ってたな・・・ちょっと二人には期待していたので、この不参加は痛い。

「私はそういうプレイも嫌いではないです・・・なのでご一緒しますよ」

そう言ってくれたのは、ジラルダであった。


ダッシュは俺にすり寄ってきて、一緒に来てくれることを意思表示してくれるが、後のメンバーはみんな幽霊が怖いみたいで、目を合わせると、顔を背ける。仕方ないので、この面子で幽霊退治はすることにした。他のメンバーには、別にやって欲しいことがあるので、新メンバーである、大工のアモンと、日曜大工の得意なミュラーナを中心に指示を出した。


次の日、早速、新しいダンジョンへ、みんなで向かった。天馬艇で移動したので、20分ほどで到着する。俺を始め、幽霊討伐組は、城へ向かい。他のメンバーは、城までの道を整備してもらうことになっている。さすがに、冒険者がここまで来るのが大変すぎるので、橋を作ったり、道を整備したり、階段を設置したりと、お願いしている。


さて、城の前まで来ると、どんよりとした雰囲気が、滲み出ているのがわかる。決して古い城ではないのだけど、何千年も放置したような気配を醸し出していた。


俺たちは恐る恐る、新しい我が家へと歩み始めた。









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