塔の戦い

第123話 エラスラの街へ再び

空中城の中から外に飛び出して、すぐにエラスラへ向かおうと思って動きが止まる。そういえば橋が壊されていて山側に戻れないのであった。そんな俺の心中を察したのか、ニャン太の声が聞こえてくる。


紋次郎・・森の向こうにエミロたちが使っていた天馬挺が置いてあるんだ・・もう彼らには必要のないものだから貰っちゃえばいいよ・・


ありがとうニャン太・・助かるよ・・


あと・・君が空中城を出ると・・もう僕の声は届かなくなっちゃうから今のうちに大事なことを教えておくね・・君の剣の能力の話だけど・・実はその剣にはすごい能力があるんだ・・魔法名を唱えるだけで・・ほとんどの魔法が使えてしまう・・・ヴァルバロッサとの戦いで実際使ったから感じはわかると思うけど・・・


あ・・あの回復とか・・なんとかオーラって魔法だったんだ・・


だからエラスラの塔に行く前に・・使えそうな魔法をメモするなり覚えるなりするときっと役に立つよ・・・


ありがとう・・ニャン太・・魔法をガンガンメモしていくよ・・


それと君が受けた神の寵愛の話だけど・・冒険者の祝福は知っているよね・・


あのレベルアップとかするやつでしょう・・


そう・・神の寵愛を受けた者は・・あの祝福をどこでも受けることができるんだ・・祝福を受けたくなったら女神ミュラシャに心で祈りを捧げるんだよ・・


それは便利だね・・後でやってみるよ・・


それじゃあ気をつけて行くんだよ紋次郎・・


行ってくるね・・ニャン太・・みんなをお願い・・


紋次郎は森を抜けて、エミロたちが使っていた真紅の天馬挺に乗り込んだ。動かし方がわかるか心配だったけど、操作がすごく簡単で、俺にも動かすことができた。


すぐに空中城を出発して、アルマームの街へと向かう。なぜ直にエラスラに行かないかというと、冒険の仲間を誘いに行くためである。俺の仲間は、石化したリンスたちの他には、ランティークたちくらいしかいないので、彼の家に相談に行くことにしたのである。


馬車では、あれだけ時間のかかった旅の行程も、天馬挺では一瞬で到着である。すぐにランティークの家の門を叩いた。


「あら紋次郎どの、どうされたのですか、確かまだ慰安旅行中ではありませんでしたか」

「ルアッカさん、こんにちは。ええと、ランティークさんと話をしたいんだけどいますか?」

「申し訳ありません、ランティークは今、新しいダンジョンの視察で南方へ行っておりまして・・・戻ってくるのは2週間後くらいになります」


「そうですか・・それは困ったな・・」

「急ぎのようでしたら私がお話をお聞きしますけど・・」


お言葉に甘えて、俺はルアッカさんに、簡単な事の経緯の話をした。仲間が石化して、エラスラの塔に行かないといけないこと・・その為に一緒に塔に登ってくれる仲間が必要なこと・・・


「なるほど、事情はわかりました。しかし、そのご要望にお応えするのは難しいかもしれないですね・・」

「そうですよね・・こんなことに巻き込まれたくないですよね」

「いえいえ、そうじゃないんです。単純にランティークの管理する冒険者のレベルでは、エラスラの塔は難易度が高すぎるのです。紋次郎どののお役に立てる人材がいないだけです」

「やっぱり、エラスラの塔は難しいんですね」

「はい・・全60階層と言われているそのフロアーですが、現在の到達階層は15階。しかもそこにたどり着いたのは伝説級冒険者3人を中心とした英雄級冒険者以上の超絶パーティーでしたから・・レベル120くらいの冒険者では足手まといにしかならないんです」


「困ったな・・どうしたらいいんだろうか・・・」

「あの・・紋次郎どのさえよろしければ、協力してくれそうな冒険者を探すのを、私がお手伝いしましょうか?」

「え、いいんですか!」

「はい、もちろんです、紋次郎どのにはお世話になりましたので、ぜひ手伝わせてください」

「ありがとうございます、本当、どうしていいか途方にくれるところでした」


ルアッカさんが同行して、一緒にエラスラまで来てくれることになった。エラスラには塔の攻略を挑戦する為に、高レベルの冒険者が多く集まっているそうで、お金次第では一緒に来てくれる冒険者がいるはずであるとルアッカさんが教えてくれた。


俺たちは天馬挺ですぐにエラスラの街へと到着した。天馬挺を、馬車預かり所へ預けて、すぐに冒険者ギルドへと足を運んだ。





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