第44話 校外学習XVI

 これ以上待っても田口さんは来る可能性は低いと思い、田辺に声を掛けようとしたところへ、人が近づいてくる足音がした。その足音から、彼もしくは彼女が相当急いでいるのが窺える――もしや――。

 現れたのは、田口さんではない女子生徒だった。一体彼女は――。

「理恵ちゃん!」

 秋月が押し殺したような声でつぶやく。理恵――だれだ? 秋月に聞こうと口を開いたが、その理恵という女子生徒の声の方が早かった。

「あなたが、紗江と、待ち合わせしてた、人?」

 息を切らしながら、彼女は田辺に問いかけた。……田口紗江だったか、確か。

「そう、だけど」

 突然の来訪者に戸惑いながらも答えた田辺は、そのまま言葉を繋げる。

「……田口さんは、どこに」

 ――病院よ。

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