夢見るエンジン

作者 馳月基矢

働く事は、より力強く生きる事。小説を読む事は、誰かの人生に寄り添う事

  • ★★★ Excellent!!!

 労働。働くこと。それが人生において、力強く前を向くための「誇り」なのだと教えてくれる物語だ。運送トラックの運ちゃんしかり、工場の工員しかり、ポスドクの研究者しかり、ブラック牛丼屋の店員しかり。

 ただ生きる。そういう仕事もある。だが、そこに何かを「上乗せ」することは、きっと誰にも出来る。そこに誇りを見出して生きることは出来るのだ、一人ひとり、違う誇りを。
 そういう生き方がある。そんなことを、本作は示している。

 特定の職業に留まらない、作者の視野の広さ、視線の透徹ぶりは、働く誰ものための応援歌となる一作を書き上げた。



 まさしく作者の「働きぶり」を、どうか多くの人に見届けていただきたいと願う次第だ。



 良い小説に出会った時、必ず思い返す一節がある。それは作家・北村薫の言葉だ。

『小説が書かれ、読まれるのは、人生が一度しかないことへの抗議だと思う』

 小説によって、私たち読者は、別の誰かの人生に触れることが出来る。

 誰かを応援する誇りを教えてもらえる。

 誰かの不幸に涙する優しさを教えてもらえる。

 誰かの境遇への遣り場なき怒りを教えてもらえる。

 誰かの愛への共感を教えてもらえる。


 良い小説と出会った時、私たちの人生は、少し豊かになる。
 私はそう信じている。
 だから私は、この作品に、感謝したいと思う。

 おかげで、また少し私の人生が、豊かになりました。

 ありがとう。


 どうもありがとう。

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