EX2話 始まりの物語

「んん……?」

この暗闇、またここか。

「……願った」

「またお前か」

「――は待っている」

「いい加減にしろよ! なんなんだよ!」

「…………」

「都合が悪くなると黙り込むのか。自分勝手なもんだな。一体なにを言って――」

問おうとした瞬間、その空間にヒビが入り、割れ、眩い光に包まれる。光は一瞬だけ世界を覆うと、また元の暗闇に戻った。

「くそ、前も後ろもわからねえ」

「そう……それが始まり……」

「はあ?」

「君は知るべきである。思い出すべきである」

「知る? 思い出す? なにをだ?」

「彼女を救うため」

「彼女……?」

「君は揃えた。しかし、忘れた」

「俺がなにを忘れてるって言うんだ」

「勇気」

「勇気?」

「示すために、絶望を思い出すのだ」

「なんだよ、絶望って――」

「封印した痛みをもう一度――」

その瞬間、俺は闇に飲まれた。

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