番外編

※これはあくまでも個人的見解です。



かなり間が空いてしまった上に番外で申し訳がない。

人手不足の折り、ライトノベルと少年マンガの賞の選考の助っ人をしており更新の余裕がない。

そのためと言うかそのせいでと言うべきか、目につくことがあり、また、入賞を狙っている方々には参考になるかと思うので取り急ぎ番外編としてお送りする。尚、見直す時間がないため誤字脱字や意味不明な文章となっていても、この回のみ期間限定として時期を見て消すつもりなのでご容赦願いたい。



ライトノベル、マンガ共、十代二十代を対象とした若年層向けの作品であるので、多くが学校を舞台、学生が登場人物となるのは仕方がないのだが、それ以外にも偏った傾向がいくつか見られたのでそれらについて述べていきたい。


異世界、転生、勇者、魔王、妹、擬人化、女体化、ミリタリー+女の子など、過去流行ったもので半分以上を占める。

特定の作品やジャンルが好きなのはわかるのだが、読んでいるだけで何処かで見たような既視感を感じさせてはそれだけでマイナス点になる。その上で似た作品が多く食傷気味となるため、落とされる可能性が高くなるのでよほどの自信がない限り、題材とするのには向いていない。特に、人気のあった作品と似た設定は同じ業界内であるため、すぐに看破されるし、酷い物はどう見ても二次作品にしか見えないのでできる限りやめた方がいい。プロを目指すならオリジナリティは重要だ。

また、特殊能力を用いたものも多く見られるが、正直、能力の発現や存在意義に説得力がないものが多い(SFでも、ロボットが人型である必要性を語っているものもほぼなかった)。何の理由や説明もなく、ある日突然能力に目覚めた、またはファンタジー世界だから魔法が使えます、SFだからロボットが出てきます、では幼児向けの絵本レベルだ。

女の子のタイムリープものが散見されたのは、今時だから仕方がないが、時間を題材にした物は意外と難しく、話として破綻している物が多かった。しっかりとプロットを作ってもらいたい。


エロ系の作品は、下ネタを女性に言わせるものが目立つ傾向にある。リアリティがないのと、あちこちで同じような作品があるのでかなり工夫をしないとただ下品になるだけで、面白くない。面白くない下ネタほど話を白けさせてしまうものはない。また、ブルマやスクール水着などがネタにしやすいようだが、リアルな若年層ほどブルマは知らないし、男女混合で水泳授業を行うこともほぼない。何もかも現実に則する必要はないが、共感を覚えにくい年代が読者層の中心になっている現実を理解しておくべき。

昔から一定の割合であるが、いつ頃からか増えている。特に女性側が積極的にリードするものが異様に多い。時代なのだろうが、被り過ぎているし、別の意味で心配になる。


時々ネタとしてパロディが見受けられるが、色々な意味で難しいことを覚えておいて欲しい。最近でも馴れ合い的に用いられることがあるが、ネタにされた相手の出方によっては作品生命そのものが失われることになる可能性もある。プロ対プロでも危険度が高いのに、駆け出しのデビュー作にプロ作品がパロディで使われた時笑って許して貰えるかどうか、熟考を願う。


ニート、引き籠もり、劣等生、いじめられっ子など、弱者が主人公であることも目立つ。更に、それらが努力も無しに突如手に入れた謎のチート能力で相手に勝利するというのも多い。気持ちは分かる。強者よりも弱者が多いのは当然だし、今の時代、強者に共感しにくいのも理解できる。だが、限られた頁数で成長を描くのは難しいが、宝くじ的に手に入れた力で敵を倒してハッピーエンドではあまりにも安易に過ぎる。ゲームシステムを基にしたような単純な世界観も作品を著しく浅薄にする。


受賞作に求められるのは面白い物。それに尽きる。

では何が面白いのかとなると、途端に難しくなる。公募における作品の基準は基本的に読者目線ではないからだ。出版社、編集部、編集者、それぞれの好みに合う物。最早この時点で、ほぼ運に左右されていると言って過言ではない。出版社のカラーに合わず、一次選考すら通らなかったという経験は多くの方がしていることと思う。

敢えて一言で言い表すのなら、既存の物とは異なる作品。定型文のように見聞きしたことがあると思うが「既存の作品へのアンチテーゼ」というのは大方の送り手側の望む物だ。

これまでに見たことのない作品、それだけで選者の興味をそそる(ちなみにライトノベルよりもマンガの方がオリジナリティを感じる作品が多かった。)。

時代が進めば進むほどやり尽くされてしまった話は増えるばかりだが、そこはチャレンジ精神で頑張って欲しい。

最後のまとめが精神論で非常に申し訳ない。

この辺りの話は、時間のある時にもう少し掘り下げてみたいと思う。

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