セイバーメトリクス

開幕して一月が経過した。


現時点の首位は、ボンバーズで、2位は1ゲーム差でゴールデンズ、3位3.5ゲーム差でエンペラーズという順位になっている。


下馬評通りボンバーズとゴールデンズの熾烈な首位争いを繰り広げている中、エンペラーズがどう食い込んでいくか。


そしてエンペラーズと0.5ゲーム差で4位にいるのが、福岡県は北九州市を本拠地としている北九州ガンズである。


ガンズは、昨年5位で、4位だったエンペラーズと僅か1ゲーム差だった。


ガンズというチームは、日本の誇るスモールベースボールとは違い、出塁が第一で、アウトの確率が高いプレイは控える。


つまり送りバントはしない、アウトになるリスクの高い盗塁も滅多に行わない。


送りバントをするよりも、フォアボールで塁に出る戦法をとる。


野手は打率よりも出塁率の高い選手を育て上げる。


出塁率とは、打率プラスフォアボールやデッドボールで塁に出る率の事だ。


そしてクリーンナップには、OPSの高い選手が座る。



OPSとは、 On-base plus slugging の略であり、野球において打者を評価する指標の1つ。出塁率と長打率とを足し合わせた値である。


これはガンズのGM 真羅先 白義(まらさき しろよし)がメジャーで導入しているセイバーメトリクスに着目し、日本では初の試みである。


セイバーメトリクスとは何か。

それは野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法である。



ちなみに長打率とは、 打数が記録される打席において打者が打撃によって獲得できる1打数あたりの塁打数の期待値(平均値)を表す指標である。以下の式で求められる。


長打率 = 塁打 ÷ 打数

歩合(割・分・厘など)で表され、上記の式で算出された数値の小数第4位を四捨五入して第3位までの値を長打率として用いる。整数部分の0は省略することが多い。


打率などと異なり百分率ではないので、数値の上限が1を超える。最高値は4.000で、全打数で本塁打を打った場合に記録される。


長打率+出塁率が.900以上の選手をAランクとして評価している。


真羅先がGMに就任してからデータ重視の野球を実践しているのだが、オールドファンからは【野球はデータではなく、人が行うプレイ】と否定される事も多い。


だが、真羅先がGMに就任してからは着実に順位を上げている為、評価されている事も事実だ。


何だか複雑に感じるが、野球は確率のスポーツである。


ちなみに昨年のOPSのトップはエンペラーズの櫻井で1.154である。


何故、真羅先はセイバーメトリクスを取り入れたのか。


真羅先はプロ野球選手ではなく、一介のコンビニ店員だった。


ある日、いつものようにレジを打っていたら、【あ、今日AV借りて帰ろう】と思い、お気に入りのAVを観てジョークグッズで悦に入っている際に閃いたのがセイバーメトリクスだったという。



思わぬところで閃きはあるものだ…



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