第7話

 俺は、釣具屋の主人から詳しい事情を聞くことにした。

 ここヨームの町から北にある、ヨーム湖にスライムフィッシュという害魚が大量発生して、まともな釣りができないそうなのだった。


「害魚の駆除なら、別に戦士じゃなくてもできるんじゃないか?」


 俺は素朴な質問をする。


「いえ、1匹だけ…… 我々は、マザースライムと呼んでいますが。人間を襲う、巨大なスライムフィッシュがいるので、我々には無理なんですよ」


「巨大なスライムフィッシュか……」


 釣り好きの俺の血が、ざわざわと騒ぐ。


「ならば、しょうがない! 俺たちも旅を急ぐ身なれど、困っている者を放っておく訳にはいかない! よし、その依頼引き受けた!」


 単に釣りがしたいという欲求が、俺を突き動かしただけだが……


「ありがとうございます! 戦士様! さっそく、私の娘を案内役にさせまよう。おーい! ロザリー!」


 釣具屋の主人は2階のほうに声をかける。


「何、父さん?」


 2階から、ラフな格好をしたショートカットの美少女が現れる。ショートパンツから見えるふとももが眩しいぜ!


「こちらの戦士様が、スライムフィッシュの駆除に力を貸してくれるそうだ。ロザリー! 案内を頼む」


 ロザリーは、大きい瞳で俺とスゥーをジロジロと見る。


「冗談でしょ? この人たち、私と同い年くらいじゃない…… 本当に戦士なの?」


 確かに、現在の俺は18歳。スゥーは15歳だ……

 信用されなくても無理は無い。俺は、軽く自己紹介することにした。


「魔法戦士ガイウスの息子、ルシカだ! こっちは、俺の友人のスゥーだ」


「魔法戦士? 本当に魔法が使えるの?」


 ロザリーは、まだ疑いの目で俺を見る。

 しょうがない…… 見世物じゃないんだが……

 俺は、片手でソフトボールくらいの火の玉を作って見せた。


 店の主人とロザリーは、さすがに驚愕の表情になる。


「わわ…… 本当の魔法だ! すごい、初めて見たわ!」


「む、娘が失礼な事を行ってすみません。魔法戦士ルシカ様!」


 俺はちょっと得意げに答える。


「剣の方も、そこそこ使えるつもりだが…… 試してみるかい?」


「いえいえ、結構です! ロザリー! 早く案内する準備をしなさい!」


 店の主人は、ロザリーに命じる。


「分かったよ! ちょっと待ってね!」


 ロザリーもすっかり俺を信用したようで、慌てて支度を始める。



 それから、数分後……

 準備を終えたロザリーが俺たちに声をかける。


「魔法戦士様、準備ができました! ヨーム湖にご案内します!」


 荷物に釣り道具をぎっしりつめた、バックパックを背負ったロザリーは俺たちの先頭に立ち案内を始める。


 スライムフィッシュか……

 まだ見ぬ未知の魚に、俺の釣り人魂の火がついた。


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