7、空の監獄

 地球人口は増えすぎた。食糧不足による度重なる戦争により、世界は疲弊し、大地は海により削られ、それでも増え続ける地球人口は、犯罪率を激増させた。当然のごとく監獄は足りなくなり、かつて有ったと言われる少年法などというものはもう少年を守る事はなかった。

 私は看守である。監獄はもはや地上に作られる事はなく、磁力に寄って空を移動している。私の勤務先、第四児童監獄もその一つである。この監獄には男も女も関係なく三百万もの児童が収容されており、その多くが思春期の青年たちである。当然のごとく色々な問題が起こる。その度、私は子供達を鞭で打たなければならない。全く、残酷な仕事である。この仕事は、公務員の仕事であり、空に浮いていることによる拘束時間と精神的な苦痛を感じることから、高い給金が支払われる。だから、私は残酷なこの仕事を続ける。

 人の食事を奪った子供を殴った。パラシュートを盗み出そうとした女の子を逆さに吊るした。看守を襲った男の子をした。ここの人間には囚人の生殺与奪の権利が与えられている。全く残酷なことである。子供は身体中の骨を折り、女の子は心身共に傷だらけ、男の子は海の藻屑。全く楽しい世界である。もちろん皮肉。

 私達がこうしている間にも、きっと下では戦争だろう。もしくはその為の相談か。空中監獄は国際法で他の国の攻撃を受けないことになっているから、全くそんなイメージは受けないのだけれど。

 私はいつも通りFAXを見る。いつも通りの朝、これでも私はベテランで、実はこの監獄の監獄長である。監獄長兼看守。仕事はどちらかだけにしてほしい。お金が入るとはいえ、大変である。

 いつものように、拷問、私刑、処刑。まるで蛮族の国である。一回の過ちも許されず、裁判もなく即有罪。全くもって、こんな世界は滅べばいい。そう思えれば、いいのだが、私はあいにく薄情者だった。

 それでも、いや、だからというべきか。ある日の朝届いたFAXには歓喜した。

 うまくいけばこの監獄は1日にして、消えていく。その命令とは、監獄が攻撃されないことを利用し、敵国上空で浮遊装置を停止、そのまま街を巨大質量で押しつぶす、という者である。流石我が国、ろくでもない。だけど、この監獄ばんぞくのくにが綺麗さっぱり消えるのは、嬉しかった。国の方は、私だけはこれまでの働きを評価して、他の監獄に転属させると言っている。つまり便利なんだろう。だけども、私はこの監獄と共に消えると決めた。敵国のゴミどもを殺しながら、自分の生き地獄、独裁国家をも壊すことができる。後悔はない。後悔なんてないけど、私はきっと地獄行きだろう。悲しいけれど、お別れである。


 私が、終わらせる。戦争も生き地獄も。自己満足だとわかっているけど、それでもいい。全ては愛する我が娘のために。ありがとう。



 …………光は、私を溶かして包み込んだ。

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