ちゃんと話そう。ー6ー

このメイド服はコミケで私が着たもので、着るのは3回目になる。


2回目は増刊号の読み切りでメイドとご主人様の話を書くからと陸斗くんがご主人様役で、私がメイドで執事が綾ちゃんで姫島くんがライバルのお嬢様で寸劇をして、読み切りの話に深みをもたせた経験がある。


役を演じながら、皆にストーリーのアドバイスを聞いて読み切りを完成させた。皆の意見は大変参考になり、面白さが増して読み切りはシリーズ化された。


着るのはそれ以来だ。


「は、恥ずかしいよぉ……」


久しぶりに着るから恥ずかしすぎる!


「高校時代より色気が増した」

「そ、そうかな? 」

「恥じらう姿とか特に色っぽい」

「だ、だって普段は陸斗くんがだめって言うからこんな丈の短いスカート履かないし……」

「陸斗くんじゃなくてご主人様だよ? 蜜葉」

「は、はい。ご、ご主人様……」

「今日は一日メイドさん。それがお仕置き」

「えっ!? 」

「俺をたくさん不安にさせたんだ。ご奉仕して貰わないとね」

「陸斗くんがいつもよりS! 」

「だーかーら、ご主人様だって」

「なんてプレイ……これ」

「ほら、俺を満足させて? 蜜葉さん。お願い」


やっぱり昴くんの親戚だ、陸斗くん。昴くんより可愛らしさあるけど。


恥ずかしいけど、やるしかないよね。


「蜜葉? んっ……」


私は陸斗くんに自分からキスをした。私の舌と陸斗くんの舌が絡み合う。


「みつ……」


私は何度も何度もキスをする。


「み、蜜葉……? 」

「私のキスで満足させられましたか? ご主人様」

「あ、ああ」

「良かったです! ふふっ」

「何だ、このくそ可愛いメイド」

「私はご主人様のキスじゃなきゃだめなんです。ご主人様しか愛せないし、ご主人様だけに触れられたいし、触れたいのです」


私は陸斗くんに抱きつき、言う。


「そういう事言われるとやばい、蜜葉さん」

「ご主人様に安心して欲しいですから」

「ねぇ、蜜葉は俺にどうして欲しい? 」

「ご主人様、私を……襲ってください」

「いけないメイドさん」

「だって、ご主人様だってしたいでしょ? 」

「ずるい、蜜葉さん」


もう大人に近いし、これからは我慢せずに言いたい事たくさん言わないとだよね。


「ご、ご主人様っ……」

「なんかメイド姿の蜜葉さん、いつもよりやらしい」

「は、恥ずかしいです……なんか、いけない事してるみたい」

「今日はいつもより優しくしないから」

「や、優しくしないんですか!? 」

「俺じゃなきゃだめって分からせないと」

「も、もう! 」


けど、こういうやり方も悪くない。綾ちゃんの同人誌読んだ時は恥ずかしくて無理ってなるシチュエーションなのに。


「蜜葉、大丈夫? いつもよりかなり激しくしてしまった気が」

「大丈夫だよ」

「嫉妬すると、俺はおかしくなるらしい」

「陸斗くん……」

「ごめん、全部俺の為だったんだもんな。けど、俺は蜜葉が俺の為に無理して一人で悩むのは嫌なんだ。これからはさ、ちゃんと二人で話そう。悩んだ時は包み隠さず」

「うん……」

「俺さ、怖かった。昴に蜜葉まで奪われたらどうしようって。蜜葉を信じるべきなのに」

「わ、私も不安になったのは同じだから! 」

「蜜葉……」

「私はまだ自分に自信が無いみたい。陸斗くんの周りにいる女性声優さん達みたくキラキラしてないから」

「そんな事ない! 俺の知ってる桜木蜜葉はいつもキラキラしてる。夢に一生懸命だし、いつも俺に力をくれる。俺はそんな蜜葉だから好きだし、蜜葉がいない人生なんていらないって思ってる」

「陸斗くん……」

「俺は蜜葉と二人で夢に向かって頑張るって高校時代からずっと思ってるから」

「私も! 陸斗くんが頑張ってる姿を見て励まされる。漫画家の夢を諦めないでいられたのも陸斗くんが背中を押してくれたからだよ」

「うん。だから、俺達はすれ違っちゃだめなんだ。二人で歩かないと」


もうあんな喧嘩なんてしたくない。喧嘩してもいつもみたくちっぽけでくだらないすぐ仲直りできる喧嘩で良い。


私も陸斗くんがいない人生なんていらない。想像もしたくない。


自分から大事なものを壊してしまうとこだった。


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王子様はまだ恋を知らない。〜2nd Season〜 胡桃澪 @miorisu

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