すれ違う二人。ー4ー

「蜜葉、おかえり! 」

「り、陸斗くんっ!? 」


家に帰ると、家の前に陸斗くんがいた。


「今日は仕事早く終わったからさ。会いに来た。蜜葉に話もあったし……」


どうしてこんな日に……。


「そ、そっか」

「LINE、返信なかったから心配した」

「ごめんね? 出版社で打ち合わせが長引いちゃって」

「そうか。なら、仕方ない」

「上がって? ごめんね、待たせて」


罪悪感で胸がいっぱいになる。とっさに陸斗くんに嘘をついてしまった。


だけど、昴くんに脅されてる事を知ったら陸斗くんはきっと不安になる。昴くんに近付いてまた争って逆上した昴くんが陸斗くんの秘密とやらを拡散する危険だってある。


それに、キスされた事を言ったら陸斗くんは傷つく。私自身も言うのが怖い……。


「蜜葉」

「ん? どうしたの? 陸斗く……」


陸斗くんは私にキスをしようとする。


だけど、私はさっきのキスが頭に浮かび、陸斗くんを押し退けてしまった。


「蜜葉……? 」

「ご、ごめん。お茶淹れるね」

「あ、ああ……」


何、してるんだろう。陸斗くん、絶対ショック受けたよね……?


「そういえば、新しくアニメ決まったんだよね? 昨日LINEで言ってたけど」

「ああ。少年ウィング連載のバスケ漫画の主役。ずっと読んでた漫画だから嬉しくて」

「そっか。私も楽しみにしてるね」


次は避けないようにしよう。あれは事故なんだから……。


「はい、どうぞ」

「ありがとう」

「そういえば、宮森さんとも共演するんだよね? 」

「ああ。宮森さんは俺のやるキャラの先輩役。ずっと憧れてた声優さんが脇で俺が主役ってなんか複雑だけど」

「でも、宮森さんって陸斗くんと仲良いんだよね? 嬉しいんじゃないかな? 」

「だと良いけど。ただ、敵高のキャストがな……」

「ん? 誰が出るの? 仲村さんとか? 」

「昴、なんだよな」


その名前を聞いたとたん、私はお茶をぶちまけてしまった。


「大丈夫か? 」

「ご、ごめん! 私ってばそそっかしいな」

「俺は大丈夫だ。現場で揉め事起こすつもりはないよ。仕事だって割り切るから」

「うん……」


ごめんなさい、陸斗くん。私は陸斗くんに隠している事がある。


「でも、宮森さん大変だよな。熱愛スクープで」

「へ? 」

「Twitter、さっき見てたらたくさん写真出回ってた。リツイート数も多くて。最近は声優も週刊誌に狙われるみたいだな」

「そうなんだ」

「まあ、あの人はそれでも結婚考えてるみたいだけどね。同棲って報じられたし、そろそろ堂々と発表するんじゃないかな」

「今って声優さんもアイドルみたいな扱いなんだね」

「まあな。結婚や熱愛報道で叩かれたり、ファンが減るパターンはよくあるな。昔に比べて顔出す場面が多いから。ファンからアイドルみたく崇拝されてるのは俺も感じてる」


昴くんの言う通りなんだ。もし、私達の事が露見されたら大変だ、きっと。


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