陸斗と昴ー8ー


「陸斗とユイユイ遅れるみたいね」

「先に飲み物だけ頼もっか」


金曜日の夜、私と綾ちゃんは先に居酒屋に入って二人を待つ。


「おしゃれな居酒屋だね。カフェダイニングって感じ」

「あたしの行きつけよ。チーズフォンデュが美味しいから後で頼みましょ」

「さすが、綾ちゃん。そうだ、さっき綾ちゃんと一緒に見ようと思って忘れてた。これ! 陸斗くんが表紙の声優雑誌」

「あ、あたし買うの忘れてたんだわ。ありがとう! みっちゃん、もう見た? 」

「まだ。綾ちゃんと見たくて」

「でも、陸斗達が来てからじゃなくて良いの? 」

「陸斗くん、自分の雑誌や作品を目の前で私が見ると恥ずかしがるから」

「あはは。陸斗ったら可愛い。あら、陸斗巻頭特集じゃない」

「ね! こういう服装、普段しないから雑誌で見れて嬉しいな」

「確かにあいつ、明るい色着ないものね。インタビューは後で陸斗の前で読みましょうか」

「えっ! 恥ずかしがるよ!? 」

「からかいがいがあるじゃない」

「綾ちゃん意地悪! 」

「ふふっ。あっ! 」

「どうしたの? 」

「昴くんが特集されてるわ」

「えっ……」


綾ちゃんが見ていたページにいたのは合コンで会った人だった。


「この人……」

「最近、あたしがハマってる声優さんよ! ほら、みっちゃんとこないだ話してた少女漫画原作アニメの二番手ヒーロー役の」

「声優……」

「みっちゃん? 」

「わり! 遅れた」


遅れて姫島くんがやって来た。


「あっ! ユイユイ短髪眼鏡になってるー! 雰囲気変えすぎ」

「仕方ねぇだろ! 作家志望なんだし。今時ワイルド系は流行らねぇわ。ん? 昴じゃん」


姫島くんは雑誌に写る彼を見て言う。


「ユイユイも好きなの? 」

「好きって言うか陸斗の従兄弟だよ」

「えっ? 」

「みっちゃんもあたしも知らないわよ? 陸斗の従兄弟も声優になったなんて」

「そりゃあ言わねぇだろうな。だって、陸斗が世界で一番嫌いな奴だから」

「えっ? 」

「陸斗のものを何でも奪いたがるクソ野郎だ。声優になったのだって陸斗を超えたいだけだろうな」

「みゃーちゃんみたいって事? 陸斗をライバル視してる」

「あいつは陸斗が好きだから可愛いもんだろ。昴は違う。陸斗が嫌いだから陸斗が嫌がる事をしたがる」


そんな従兄弟が陸斗くんに……。


「ひどいなぁ、結斗。俺はただりっくんを純粋にライバル視してるだけなんだよ? 」


えっ?


「す、昴!? 」

「噂をすれば何とやらね」


私達の目の前に彼が現れた。従兄弟だから、陸斗くんと雰囲気が似てるんだ。


「へぇ、君って陸斗の友達だったんだ? 」


彼は私を見つめ、聞く。


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