陸斗と昴ー7ー

「ん……」

「起きた? 蜜葉」

「り、陸斗くん……すぐ、朝ごはん……」

「だーめ。もう少しこのまま」


陸斗くんは私を抱きしめ、言う。


「うん……」

「ずっとこうしていられたら良いのに」

「陸斗くん……」

「蜜葉? 」


私は陸斗くんにぎゅっと抱きつく。


「大好き」

「うん。知ってる。俺もだよ、蜜葉」


暫く会えないと思うと、甘えたくなってしまった。私は意外と結構寂しがり屋さんみたい。


「じゃあ、またな。連絡する」

「うん。お仕事頑張って! 身体に気をつけて」

「蜜葉はオカンか」

「心配なの! 陸斗くん、すぐ無理するから」

「俺も心配だ、蜜葉が。何かあったらすぐ呼んで。駆けつけて行く」

「うん! 」

「じゃあな。蜜葉」

「ば、バイバイ」


お昼になると、陸斗くんは私の家を出て行った。やっぱりバイバイした後はいっつも辛いな。でも、寂しいのはきっと彼も同じ。寂しさ我慢して次会える時までそれぞれ夢に向かって頑張らなきゃ!


翌日になると、私は大学へ行った。今日は一限からだった為、かなり眠い。


「おはよう、みっちゃん! 」

「あ、綾ちゃん! おはよう! 」


講堂に行くと、綾ちゃんの隣に私は座る。大学生になった綾ちゃんは堂々と女装で登校している。


「あ、今日のワンピース可愛い」

「ありがとう! みっちゃん。10万かけちゃった」

「さすが綾ちゃん。桁が違う! 」


今日の綾ちゃんは黒地に薔薇柄のワンピースを着ている。綾ちゃんならではなファッションだ。


「てか、みっちゃん。首筋! 」

「へ? 」

「赤いわよ? ダーリンがつけたのかしら」

「わわっ! ありがとう。絆創膏しとこ。もう、陸斗くんめ」

「陸斗ったらみっちゃんの彼氏になってからはすっかり肉食系カピバラね」

「肉食系カピバラ……」

「あたしも彼氏欲しいわ。合コンいつも惨敗よ」

「綾ちゃん、大丈夫。その内出会いがあるよ! 」

「だと良いけど」


綾ちゃん、めちゃくちゃ可愛いのになぁ。


「あ、蜜葉ちゃーん! いた! 」

「あ、おはよう」


私は同じゼミの子に話しかけられる。


「呑み、今日オッケーだよね? 」

「うん! 大丈夫」

「やった! 5限終わったら一緒に店行こう? 」

「了解です! 」

「またLINEするね」


彼女は私に用件だけ伝えると、違う席へ。


「同じゼミの子? 」

「うん。親睦を深める為に今日皆で呑もうって」

「ふふっ。良いわね。あたしは今日、海斗と買い物よ」

「わっ。海斗くんと仲良しだね、綾ちゃん」

「琴莉ちゃんとデートするから服選んでって。マセガキね」

「素敵! 私も行きたかったな」

「だーめ。みっちゃんはゼミの子達と親睦を深めなさい」

「はーい! 」


ゼミの子達とは最近話すようになったからね。呑みでしっかり親睦を深めなきゃ。


だけど、放課後になり、ゼミの子達と店に行って私は衝撃を受けた。


「男子がいっぱい……」

「うちらより二つ下なんだよ。真央の彼氏の友達」


これって合コンじゃん!鳥料理を扱う居酒屋のお座敷席に私達は案内された。そこにはすでに5人の男子がいた。


「ごめんね。蜜葉ちゃん。合コン、どうしても人数足りなくって! 」

「そ、そっか」


合コンって言ってくれないなんて! まあ、私は彼氏いないと思われてるからね。言ってたら誘われはしなかっただろう。親睦を深める為の呑みじゃなかったんだ。なんか、複雑。後で陸斗くんにちゃんと話しておこう。


とりあえず、私は適当に空いてる席に座る。そういえば、一人足りない? 合コンなのに。


「わりぃ! 仕事で遅れた! 」


えっ?


遅れてやって来た彼に私は驚く。ワックスでふわっとさせた髪、泣きぼくろ、茶色い鋭い瞳、細身な身体。どことなく彼は雰囲気が似ていた、陸斗くんに。


「高宮昴です。遅れてごめんなさい。よろしくお願いします! 」


名字まで同じ!? すごい偶然。


「おせぇよ、昴! 」

「ごめん、ごめん」


美少年だな。綾ちゃんが好きそう。


「やっぱりかっこいい! 」

「DKの時、読者モデルもやってたんだって」


彼が来ると、女子皆がきゃあきゃあ言い出す。読者モデルもやってたとかすごいなぁ。


「隣、良いかな? 」

「は、はい」


彼が座ったのは私の隣だった。

女子の視線が刺さるよ!


「君、合コンとか初めて? 慣れてない感じ見え見え」

「う、うん。初めてだよ」


どうしよう。陸斗くんに申し訳ないな。早く帰りたい! でも、私がいなくなったら人数足りなくなるんだよね。陸斗くんの事ばれない為に隠してたのが間違いだった。


「ね、君の名前教えてよ? 」

「さ、桜木蜜葉です」

「へぇ。可愛い名前だね」


この人、外見の雰囲気は陸斗くんに近いけど……中身は違う。女慣れしてる感が。


「でも、今日は遅れてでも来て良かった。お姉さんに会えたから」


えっ!?


「他の女は皆、遊んでる感あるけど……お姉さんは清純って感じ。そういう女の子ってそそられるんだよね」

「あ、あの……」

「ね、俺……お姉さんに一目惚れしちゃったみたい」


彼は私の手を握り、言う。


「この後、席替えするらしいんだけど……俺としてはお姉さんを違う奴に譲りたくないな」

「本心……じゃないよね?それ」

「何言ってんの? 俺、こう見えてちゃらくないよ? あいつらと一緒にするとかひどいなぁ、お姉さんは」


本心じゃない。彼の瞳を見たら分かる。

それに、私はやっぱり……。


「ごめんなさい! 私、呑みに行くとしか聞かされてなくて合コンだと思わなかったの。だけど、やっぱり……合コンなら参加し続けるの無理。だって……彼に悪いから」

「は? 俺じゃなくて彼氏を選ぶわけ? 」

「確かに貴方は魅力的な人だと思う。だけど、私は彼が一番大事だから……」

「俺を振るとかバカな女」

「え? 」

「本気なわけないじゃん。あんたみたいな地味子に。からかったの。純情そうに見えたから」

「そんな……」

「後悔するよ? この俺を振った事」

「し、しません! 」

「ちょっ……帰るの? 」

「蜜葉ちゃん? 」

「気分悪いから帰ります。ごめんなさい」


私は合コンを離脱した。開始して一時間もしない内に離脱してしまった。皆に申し訳ない。でも、彼氏いるのに参加するとか絶対良くないから。それに、あの高宮昴って人! 自分に自信満々でなんか失礼だったから。


「みっちゃん、やけに疲れてる? 」

「呑みかと思ったらさ、合コンだったわけですよ」


翌日、私は綾ちゃんに昨日の話をした。


「あら、騙されちゃったのね。タチ悪いなぁ、あの子達」

「陸斗くんに悪いからすぐに帰ったよ。体調悪いって言って。でも、一人には彼氏ありって話しちゃった」

「まあ、陸斗の写真とか見せてないなら大丈夫じゃない? 何で話したの? 」

「うん。口説かれたの。やけに自分に自信満々な人でさ、私が彼氏いるって言っても俺を振るとかバカな女とか色々失礼な発言を。飲み会だって騙されて来たって話もちゃんとしたんだけど」

「さいってー! あぁ、あたしが行ってたらそいつぶん殴れたのに」

「まあ、もう会わないよね」

「そうそう! 」

「陸斗くんにちゃんと謝らなきゃ」

「みっちゃんは本当良い彼女ね」

「陸斗くん、怒るかな」

「大丈夫。陸斗は優しいから分かってくれるわ」

「うん」

「そうだ、そんなみっちゃんに朗報! さっき陸斗とLINEしてたら金曜の夜空いてるって言ってたから久々に皆で飲みに行かない? 」

「えっ? 」

「ちゃんと会って謝りたいでしょ? ユイユイも空いてるって」

「行く!! 」

「ふふっ。決まりね」


久々に皆で集まれる!


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