陸斗と昴ー4ー


目覚めると、陸斗くんはベッドにいなかった。

だけど、キッチンの方から物音が聞こえてきた。


「陸斗くん? 」


私は着替えると、キッチンへ。


「あ、蜜葉。おはよう」

「えっ! もしかしてお昼ご飯? 」

「ん。たまには俺の手料理を食べさせたくて」

「ありがとう! 陸斗くん!」


私は陸斗くんに後ろから抱きつき、言う。


「今日はオムライスにする。蜜葉好きだから」

「ありがとう。私も何か手伝う? 」

「大丈夫。蜜葉は待ってて」

「うん! 」


たまらなく幸せなお昼だ。


とりあえず、増刊号に上げる話のプロット考えようかな。


「わっ!」

「り、陸斗くん!? 」

「だ、大丈夫。落ち着くんだ、高宮陸斗」


だ、大丈夫かな? あたふたしてる……。


「玉葱……目にしみる」

「陸斗くん、やっぱり手伝う? 」

「いや、蜜葉は見てて! 俺、ちゃんと料理練習してきたから」


そういえば、姫島くんが何でも器用にこなす陸斗でも料理と絵はからっきしって言ってたっけ。


「練習、してきたんだ? 」

「あ、ああ。いつまでも実家暮らしでいるわけにはいかないから自炊の練習」

「家出るの? 」

「あ、ああ。仕事が落ち着いたら引越しをしようかなって」

「そ、そっか」

「み、蜜葉の家って大学から近い? 」

「うん。私の大学、二駅先だよ」

「そっか。把握した」

「もしかして、近くに引越しするの? 」

「え? あ、まあ」

「嬉しい! 」

「あ、あのさ! 蜜葉……俺、蜜葉とどう……っ! 」

「り、陸斗くん!? 」


陸斗くんは指を見つめる。どうやら切ってしまったらしい。


「待ってて! えっと、救急箱ー」


私は救急箱から絆創膏を取りだす。


「はい。ちゃんと手元見て料理しなきゃだめだよ? 」

「はい……」


私は陸斗くんの指に絆創膏を巻く。陸斗くんはしゅんとした表情に。大丈夫かな?


「あっ! 蜜葉、絆創膏がうさぎ」

「わっ! 間違えちゃった」

「相変わらず天然」

「陸斗くんが言います!? すぐ普通のにするから」

「良いよ。これが良い」

「えっ? 」

「すぐ捨てたらうさぎさん可哀想」

「そうだね。でも、恥ずかしくない? 」

「友達の妹にやられたって誤魔化す」

「こ、琴莉ちゃんに濡れ衣が」

「ごめん。蜜葉の事、事務所のお偉方にしか話せないから。一応隠しとけって言われてて」

「最近、活躍だし、仕方ないよ」

「嫌じゃないか? 」

「大丈夫だよ」


私達の交際は絶対に秘密。今、陸斗くんも活躍の時期だし、それは仕方ない。今、声優はアイドル声優とよばれる時代だ。イベント、CDデビュー、ライブと世間に露出する機会が多い上に男性アイドルと変わらない外見をしている陸斗くんは男性アイドルのように女性達から注目を浴びている。私のアシスタントにも熱烈なファンがいるくらいだ。彼の為にも秘密は守り続ける。


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