王子様はまだ恋を知らない。〜2nd Season〜

胡桃澪

第1話 陸斗と昴

陸斗と昴ー1ー


大学3年生の春を迎えた。私、桜木蜜葉は今……女子大生と漫画家を両立しています。


「やっと出せた……」


バイク便で原稿を渡すと、私はぐったりとする。今、私は月刊誌に連載を抱え、時々アニメのコミカライズを出すような漫画家。大学に通いながら漫画を描く事は思ったより大変。高校時代と違ってアシスタントがいるにも関わらず、だ。


いつ漫画で生活していけなくなるか分からないからと大学に入るよう母に強く言われたのだ。再就職を考えた時に大卒の方が何かと都合が良いからというのが母の考えだ。

学費を出すからと説得され、受け入れはしたが、レポート提出期限と漫画の締め切りが被った時には地獄を見るから正直結構辛い。


今は実家を出て一人暮らしをしている。実家を仕事場にするのは両親に悪いし、大学から近い方が都合が良い。アシスタントを帰らせると、私は撮り溜めしていたアニメを見始める。

やっと声が聞ける。そう思うと、にやけが止まらなくなる。そう、大好きな人の声がたくさん聞けるのだ。


『俺がお前を守ってやる。約束しただろ? 俺はお前だけのナイトであると』


そう、陸斗くんは今やアニメ業界期待の人気若手声優へとなりつつある。今、私が見ているアニメだって陸斗くんが主演だ。


高校を卒業してから、陸斗くんは声優の専門学校に通い、実力を高めて昨年の夏に音楽ゲームのアプリで男性アイドル役を演じ、その役で注目され始め、今やアニメとゲームに引っ張りだこの人気若手声優だ。陸斗くんは憧れの声優である宮森さんとライアスの新シリーズで共演する事も決まったらしい。


だからか、最近は多忙で月に一回しか会えない月も少なくない。活躍は嬉しいけど、寂しい私は陸斗くんの出演したアニメやアプリ、ドラマCDで寂しさを頑張って埋めている。

私が陸斗くん主演作のアニメを見ていると、いきなり玄関のチャイムが鳴らされた。

アシスタントさんが忘れ物したのかな?


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