第42話 山間の謎
道なりに歩いて行くと蔦に侵食された門がある分かれ道を見付けた。
この道を門がある方へ向かうと遊園地に着く。
ここら辺の地域は明確な気候の分類は無いが、人工物が集中している。
ジャパリパークの主な役割がサファリパークなので、環境保全の為か人工物は極力一つの地域に集めているようだ。
さて、目の前にあるトンネルを抜ければ砂漠地方へ出られるのだが、私とオオウミガラスの足はトンネルの手前でストップした。
緩く曲がっているせいかトンネルの奥が見えず、電気の供給が止まっているのかトンネルの中は暗闇に包まれている。
思い出すのは前回のセルリアン迷宮。
暗い迷路の中を大型セルリアンから逃げ回った経験は、しっかりとトラウマと言う形で私達の記憶に刻み込まれている。
大丈夫だ、問題ない。
前回のあれは単に運が悪かっただけで、全てのトンネルにセルリアンが巣食ってる訳ではないと自分に言い聞かせて、私は暗闇に包まれたトンネルの中へ足を踏み入れた。
トンネルの中は特別何もなかった。
トンネル内部で木霊する自分達の足音に怖がりながら、一歩一歩周囲を警戒しながら進んで行く。
そして、トンネルの出口が見えてきたところで、私達は早足で一気に出口へ向かった。
出口を抜けるとそこは山間の平野。
砂漠地方に抜けていく為にあと2回程トンネルを抜けなければならない。
次のトンネルとの中間地点くらいで、時間帯も丁度正午くらいとなり、お昼の休憩をすることにした。
倒木に腰を掛けて袋からジャパリまんを2つ取り出す。
最短で往復4日を予想しているが、果たしてこの日数で探索を終えられるだろうか?
1週間分の食料は持ってきてあるので、節約すれば10日以上持つだろう。
途中で生で食べられる食料が手に入ればなお良し。
砂漠について最も心配なのは水の確保だが、パンフレットの地図にはオアシスの場所も書いてあったので、水の確保については心配はないだろう。
方角さえ間違えなければ……
ジャパリまんがない!!
私は確かに日記を書く前にジャパリまんを取り出し、自分の隣に置いていた筈なのにいつの間にか消えていた。
犯人の第一候補はまさに半分ほどジャパリまんを食べているところである。
しかし、この第一候補の食べているジャパリまんは青色で、私が食べようとしていたジャパリまんは緑色なので、犯人ではない。
そもそも、オオウミガラスは他人の物を盗ったりするような子ではない。
では、いったい何者が私のジャパリまんを奪ったのだろうか?
考えられるのは一つだけ。
新手のフレンズが現れたのだ。
私のジャパリまんを奪った刺客を探すべく、周囲の木々へ視線を走らす。
僅かに散った木の葉。
空腹で感覚が研ぎ澄まされた私には手に取るように、相手の居場所が分かった。
距離にして8メートル。
木々の葉の中に隠れている。
私は木の枝を手にその場所向かって投擲を行った。
食べ物の恨みを思い知るべし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます