第20話 調理
本日のメニューは肉じゃが。
日本でカレー作りに失敗して出来た料理とされているが真偽は不明である。
確かにじゃがいも、にんじん、たまねぎ、肉等食材にカレーと共通点が多いが、果たしてこれが何故肉じゃがになったのか。
頭の中のレシピを引き出しながら調理をしていると、ふと懐かしい記憶も一緒に出て来た。
この肉じゃがは昔に祖母から習ったものだ。
両親が忙しくまともに私の相手を出来ないので、よく祖母に預けられていた。
その際に祖母の故郷である日本の料理を教えてもらっていたのだ。
祖母から以前にジャパリパークに勤めていたと言う話を聞いたことがある。
フレンズの事については何も語ってはくれなかったが、ジャパリパークでの事を話すときは楽しそうだったように思える。
もしも、故郷に帰って祖母と話す機会があればジャパリパークでの事を話したい。
きっと、フレンズ達の現状を知りたいと思っている筈だ。
肉じゃがが完成したので一つ味見をしてみたのだが、素材が良いのか実家で作ったときよりも味が良い。
早速それを皿に装ってオオウミガラス達の下へ持っていき、3人の前にそれぞれ並べた。
コイちゃんは並べられた瞬間に美味しそうと感想を言い、セグロジャッカルは匂いが良いと言い、オオウミガラスは不思議そうに肉じゃがを見詰めると言った感じにそれぞれの反応はバラバラだった。
さて、それではいただくとするか。
次の瞬間皿に顔面を突っ込もうとするオオウミガラスとセグロジャッカルに思いっきり制止を掛けた。
すっかり忘れていたがフレンズは元動物であり、食器の使い方を知らないのも無理はない。
彼女達に食器の使い方を教える必要がある。
のか?
何故かは知らないがオオウミガラスとセグロジャッカルの横でコイちゃんは箸を器用に使ってパクパク料理を食べていた。
美味しい美味しいと目に涙を浮かべながら食べるコイちゃん。
涙を浮かべて感動するほどこの料理が美味しかったか。
プロの料理人に比べれば数段腕の落ちる私の料理でこの反応ならば、プロの料理人の料理を食べた日には感動のあまり心臓が止まってしまうのではないだろうか?
待ったを掛けられて涎を滴ながら料理を見詰めることしか出来ない二人を見て早速食器の使い方を教える。
流石に始めから箸を使うのは難易度が高過ぎるのでフォークとスプーンの使い方を教えた。
慣れない物を使っての食事で、時折ポロリとじゃがいも等を落としているがそれでも二人は楽しそうに肉じゃがを食べている。
そんな二人を見ながら私も箸を進める。
まぁ、この際テーブルマナーについては目を瞑ろう。
楽しく食べている場に水を差すことはない。
その後、料理について話しているとオオウミガラスは何を勘違いしていたのか、肉じゃがが器にお湯を注げば出来るものだと思っていたようだ。
前にカップ麺を作るところを見ていたせいだろうか?
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