第16話 セルリアン迷宮
道を進んでいくと先程の大型セルリアンとは別の小型のセルリアンが通路を徘徊していた。
セグロジャッカルは果敢にセルリアンに近付くとセルリアンの頭部にある石に対して攻撃を繰り出した。
石が割れるとセルリアンはいくつもの立方体になって弾けて消える。
草原の時には確認できなかったが、この石がセルリアンの弱点か。
攻撃が簡単に届くところなら良いが、背後など攻撃がしにくいところに弱点があると一人ではどうにも出来ないかもしれない。
特にこうした狭い一本道だと尚更弱点の位置が重要になってくるだろう。
セグロジャッカル曰く自分より小さいセルリアンなら問題なく倒せるらしい。
フレンズ達の基準としては基本的に自分の体より大きなセルリアンと遭遇した場合は戦わずに逃げるのだそうだ。
セルリアンはフレンズを補食しないと身体を維持出来ずに崩壊してしまうらしい。
特に大型になるほどエネルギー消費が激しくなるのか身体を維持出来る期間が短くなる。
つまり、大きなセルリアンから逃げると言う対策はかなり合理的な選択だ。
そう考えるとフレンズ達の避難が完了した草原の大型セルリアンは実際は餓死寸前の状態だったのかもしれない。
思い返してみれば、あの草原のセルリアンの行動は何処と無く形振り構っていられないような印象を受ける。
そもそもセルリアンはどうして生まれるのか。
二人の話によるとセルリアンは無機物とサンドスターが反応して生まれた存在のようだ。
そう言うことか。
セルリアンがフレンズを補食するのはフレンズの体内にあるサンドスターを吸収するためだ。
逆にフレンズはその身体を維持するのにサンドスターを必要としないのか?
そもそもベースが生物と非生物で根本的に違っているので、生きるのにサンドスターを必要としないのかもしれない。
もしくは、サンドスターの消費がセルリアンと比べて物凄く緩やかなのか。
そもそもサンドスターが降り注いでいる土地なので、空気中にサンドスターが溶け込み呼吸と共に取り込んでいる可能性も……
移動しよう。
こんな暗い穴の中で考える事じゃない。
しばらく移動するとまたズズズと大型セルリアンが蠢く振動が迷宮内に響き渡る。
どうやら大型セルリアンが私達が移動している通路の近くを通ったようだ。
その振動はまるで私達を追うように頻度を増していき、自然と私達は出口へ向かって早歩きになる。
精神と体力が疲弊しきったところで私達はやっと出口へ辿り着いた。
早く、トンネルから出なければ!
私達は疲れた身体に鞭を打って出口へと向かう。
日の光が見え始めた矢先に私達は絶望することになる。
山岳のトンネルの出口、そこに待ったいたのは迷宮の中にいた筈の大型セルリアンだった。
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