第13話 風になる
かつて、空を飛ぶことを夢見た人がいた。
その人の夢は何時しか現実となり、空飛ぶ巨大な鉄の鳥になった。
そして、私はその夢の原点に立ち返ろうとしている。
己の器用さを呪ったのは今回が初めてだ。
布を補修し、フレームを改めて組み立て、壊れた自転車を修理してプロペラを動くようにしたらそれっぽいのが出来てしまった。
空を飛ぶことに関して何も裏付けがなされていない人力飛行機っぽい何か。
以前、鳥人間コンテストなるものがあったと言う話を聞いたが、こんなもので空を飛ぼうなんて正気の沙汰ではない。
いや、あちらはしっかりと航空力学で裏付けされた特別製だから正気を疑うのは筋違いか。
もし、この日記を読み方がいたら空へ飛び出す前にもう一度考えてもらいたい。
何故なら人は空を飛ぶようには出来ていないのだから……
遺書めいた物を書いたが、実際やると意外と何とかなるものだ。
風を切って滑空する私の周囲を墜落したときに助けてくれるように頼んだ鳥のフレンズの一人が並走してくれている。
自転車の動力で動くプロペラが推進力となり、かなり早い速度が出る。
人力飛行機を体重移動で傾けたりしながら操作方法をしっかりと確認し、5分もすれば自在に動かせるようになっていた。
さすがに上昇は出来なかったが、かなり長い距離を飛行しトンネルの入口にまで到着してしまった。
冷静になって考えてみれば元々空を飛ぶために作られた物なので、組み直せば上手く機能しない訳がないのだ。
若干、補修した布の縫い目が怪しいがとりあえず上手く行った。
フレンズ達からもすごーいと大評判だ。
また山小屋に戻り、現在はフレンズ達が交代で人力飛行機で遊んでいる。
物覚えは良いのか私よりも短い時間で人力飛行機の操作を習得していた。
さすがは元動物、運動能力に関して人よりも遥かに良いらしい。
ちなみに鳥のフレンズはタカとハクトウワシとハヤブサの三名。
全員が猛禽類のフレンズだ。
もしも、あの山小屋が無かったら人力飛行機の組み立て補修は出来なかっただろう。
あの小屋の中に一通りの道具が揃えられていたおかげで何とかなったのだ。
しかし、あれ1機だけではスカイレースの開催は出来ないだろう。
量産するにしても道具はあっても材料がない。
運良く見付けられてもそれを組み立てられる人、もといフレンズがいない。
量産する当てがあったらしい。
フレンズの中にも手先が器用な者もいるようで、そのフレンズに手伝ってもらって人力飛行機を量産するつもりのようだ。
マーコールを含めた4名のフレンズはジャパリまんをどうやって確保しようと色々相談をしている。
人力飛行機を使って意見が変わったのか、マーコールもスカイレースの開催に前向きになっていたようだ。
今はまだ企画準備段階、スカイレースが本格的に開催出来るようになるのはまだまだ先になりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます