徳川十五代の一覧を眺めていて、「なぜ、秀忠?」と思ったことのある人は少なくないだろう。 そのちょうどいい具合に好奇心をくすぐる疑問を、読者にうまく提示できている時点で星三つ。 提示した謎に対する作者の回答も意表をついたもので楽しめた。 日本史に詳しくなければ面白味がわからない作品ではないので、多くの人に読んでもらいたい。 なお、文章も実に読みやすい。
徳川秀忠は家康以上の律儀者でありつつ、政治家としては超一流といえるほどの政治手腕を発揮し265年という徳川幕府の礎を築いた男、その律儀さが徳川幕府を長続きさせた秘訣かも知れませんね
登場人物は秀忠、家康、秀吉のたった3人。でも、歴史の真相に迫るが如き迫力が有る。8千字余りで能くぞ浮き彫りにしたと、天晴れな気分になる。日本のサラリーマン社会では、本作品の秀忠タイプが出世していく。若人は参考にされたし。でも、往々にして真似できないんだけどね。ところで、作者は裏に隠れた真相を抉るように仮説を立てるのが上手い。別作品「家康、江戸を捨てる」も非常に興味深い仮説。案外、正しいのでは? と思ってしまう。短編にはMAX2つが信条ですが、星3つ付けました。