ONE〈改稿版〉

作者 如月ふあ

42

15人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

学園ドラマでありSFであり、サナトリウム文学を思わせ哲学を感じる。

そんな作品をなんというだろう。

たとえば海鮮丼のような(こら

本作はとある架空の世界で起きている紛争を舞台にしている。
しかし架空の世界であることが逆に、現実を強く想起させるということがある。本作もまたそうした物語のひとつかもしれない。

★★★ Excellent!!!

 惑星間で不毛なゲームのように戦争が行われる世界において、強大な能力を呪いのように背負わされた少年が己の能力や存在を受け入れること、人を愛することなどを学んでいく重厚な心理ドラマです。
 登場人物はまっすぐにひとりの人を愛する。そのかたちは執着であったり依存であったり、ときには支配であったりします。そのことによって傷つけあったり運命が縺れあったりする。それぞれの思いの熱量に圧倒されます。
 移ろいゆく人間たちのあいだを過ぎていく季節の描写が美しいです。主人公を責めるように積もる雪、赦しのような穏やかな春。少年は、堅く自分を縛りつけていた軛から徐々に自分を解放していきます。自分を無条件で愛してくれる存在を糧にして。
 数ヶ月の期間のなかで少年が経験する、喪失と再生の濃密な道のりを、ぜひお楽しみください。

★★★ Excellent!!!

知的で複雑な人間模様、実に奥深い心理描写で彩られている作品です。
言葉や肉体だけではなく、心同士で直に愛し合い傷つけ合うようなシーンの連続は、好きな人は思わずのめり込んでしまうのではないでしょうか。
心に深い傷を持った少年たちの織りなす艶めかしい物語、BLファンは是非!

★★★ Excellent!!!

 SFでバトルをやるというよりも、この作品の登場人物たちの人間ドラマを見ている感覚になります。人間になら誰にでもあり得る苦悩と葛藤。愛憎。登場人物たちに感情移入しすぎると、読み手側まで辛くなってしまうほど、よく感情表現が作りこまれていて圧倒されます。この作品のメインキャラクターはほとんど男性ですが、女性でも十分に感情移入できます。
 しかもこの作者様の詩的な文章が美しく、終盤に出てくる詩は一見の価値ありです。
 是非、御一読ください。

★★★ Excellent!!!

お互いを恨んでもなお、愛する人を立てようとする人々に心打たれると同時に、もがき苦しむその姿に美しさすら感じます。

愛とは複雑怪奇で、それゆえ美しいもの。泥沼のような感情が渦巻く中でほんの僅かの希望に手を伸ばそうとする。

入り組んだ複雑な感情が、ふあさんの素晴らしい筆力で描かれています。

★★★ Excellent!!!

大作、名作という表現では全く足りない、とても奥深く素晴らしい作品です。
過酷な境遇を背負い、自己を肯定できない主人公カツミが、ジェイというパートナーの支えによって自己を肯定し、他者を肯定し、過去を克服し、運命と対峙するというのが本筋ですが、とにかく微に入り細を穿つ心理描写、詩のように美しい情景描写が胸を打ちます。
かつ、キャラクターの心情が、読者が読み取ろうとしなくても頭の中にすっと入ってくる描写は、この作者様ならではの文章力の成せる技でしょう。
また、BL作品だからこそ描けた純化された愛の形には、深い感動を覚えます。
ぜひ、多くの方に読んでもらいたい、文句なしのお薦め作品です!

★★★ Excellent!!!

 SFかつミリタリー風の味付けになっていますが、中身は間違いなく心理劇です。

 主要な登場人物全てが、大きくえぐれている心の欠片を埋めようとして近しい人に対してぎごちなくアクションを起こすんですが、それがイスカの嘴のごとく噛み合いません。自傷、自虐、他傷、征服……外見からはそれがとても愛情であるとは認識出来ないような感情の発露、行為であっても。それは、間違いなく愛情が出処なんです。

 かつて夏祭りの夜店でよく見られた、型抜きという遊戯をご存知でしょうか? 薄い板状の砂糖菓子に何かの形が描かれていて、その部分だけをきれいに切り離せれば景品がもらえるというやつです。
 本小説はそれによく似ています。誰もが、こういう愛が欲しいと型抜きを削り始めるんですが、結局割ってしまうんですよ。削り出すプロセスが丁寧であるかどうかは、必ずしも成否に関係しません。型抜きというのはそういうものなんです。
 割れたら終わりだと思ってしまえば、本小説の一部しか理解出来ません。削り出すという行為そのものではなく、取り出そうとした愛情の本質を見極められるか。それが、この小説の醍醐味だろうと思っています。

 著者が長い間かけて磨き込んできた主要人物群。主人公のカツミだけでなく、ジェイ、ロイ、フィーア、シド、ルシファー……。著者がそれぞれの人格に象徴させたものが読み取れれば、きっとあなたの嘆息を誘うことでしょう。ああ愛というのは、どのように割れ砕けてもそれでも愛なのだなと。