決闘①

「それにしても――アイツ、本当に『碧優』の息子なのか?」




扉に手を掛けようとしたその時、後ろから――その名前が耳に入る。





「えっ、それマジなの?」


「お前知らねえのかよ、ほら、アイツの苗字は『碧』だろ――」


「なのに魔法使えないの!?『不良品』じゃん。良くここに入れたな――」



その言葉は火種となり、燃え移っていく。



「……『碧優』の息子とは、全く思えないよな」



聞こえてんだよ、全部。



「うわっ、本当だ!でも当の息子が『アレ』って――」


「ね、親が可哀そうだよね」


「ってか、そんな息子を『ここ』に入れるなんてさ――」




ドクン、と。


心臓の音が、木霊する。



……久しぶりだ、こんな感覚は。





「『碧優』って、相当頭オカシいんじゃないの?」


「はは、やめとけって――」




扉に手を掛けた腕を、手前に引っ張る。


この鬱陶しい音を消すよう、強く。この怒りを少しでも消すために、強く。


バタン、と大きな音を立てて扉は閉まった。





「――――おい、聞けよ……お前ら」



静まり返った観客席。


俺はそこへ、声を向ける。




「魔法が使えねえだとか、『不良品』だとか、俺への悪口はどれだけ言っても構わねえが――」




怒りのままに、声を発する。



「何も知らねえお前らが――俺の誇りを、『母親』を、――バカにするんじゃねえ!!」




もう、後先考えられない。


俺は――コイツらをどうにかしないと、収まりがつかない。






「降りて来い――達観気取った観客ギャラリー共が――っ!」





その先、俺は声を更に大きくする。





「俺がお前ら全員――!!!」

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