ナルシス・オートマタ

作者 島野とって

72

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★★ Very Good!!

 まずは「ひとり1つの最高傑作」企画への参加、ありがとうございます。前回に引き続きですね、とてもうれしいです。

 ともかく色々なことを知っていらっしゃるのだなと思いました。
 まずその知識量と想像力が、これほど端的にまとめられる能力を尊敬します。
 設定を見ると、アニメの「PSYCHO-PASS」のシビュラによる適性診断や「攻殻機動隊」のアンドロイドとの心中が思い出されました。
 また、幸福至上主義の社会にはベンサムの最大多数の最大幸福が、文中のとある資料の「愛情課」にはオーウェルの「1984年」が、不可触民には「えた・ひにん」のようなものが思い出されます。ましてリラダンの名が出てくるとは驚きでした。
 豊富な知識が、丁寧な設定を造り出しており、物語は資料や記録だけであるにもかかわらず、行間からそこにあった出来事を想像する楽しみもある、とにかく面白い小説でした。

 深いことは下手に言えませんが、「えこ」がナルキッソスの伝説を引用している資料は密かに鳥肌が立ちました。記録上心中ではあったはずで、私はそれまで沙村シモンが「えこ」を破壊したのちに自害したのだと思っていたのですが、「えこ」がナルキッソスの伝説を引用・要約し、「さよなら」を言おうとしたのだとすると、それだとなんとなく時系列がおかしい…? つまり、「えこ」が沙村シモンの後を追ったのだとも考えられるのでは。と思ったのです。だとしたら、これは初めて見る展開です。
 まあそれが当たっているかどうかは別として、とても面白かったです。
 
 長くなってしまいましたが、ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

「知」を複合的に物語に落とし込んでいく手法は、お見事としか言いようがない。

個人的には、ラストのエピソードによって、この物語は究極の悲恋になったのではないかと思っている。
愛とは、もちろん形のないものであるはずなのに……

★★★ Excellent!!!

記録媒体によって舞台背景と独白が交互に語られていきます。
(個人的に好みな手法です)
淡々とした描写の中にじわりじわりと予感させる悲しい結末。
そして神話を絡めてのオチは鮮やかでした。愛の女神はかくもナルシスを翻弄するのか。

彼らの話がまた新たに語られるのならば是非、読んでみたいです。

★★★ Excellent!!!

アンドロイドがいれば……! と思うことが何度あったことか。
ルンバもアンドロイドな位置にくるのかどうなのか、最近考えています。
SFって読みにくそうなイメージがあったのですが、すんなり読めました。

人と機械の違いはどんどんなくなっていくんだろうなぁ、と思います。
機械に言わせれば、ひょっとしたら人間は無駄なアルゴリズムがありすぎ、とか思われる時代がくるのかもしれません。

★★★ Excellent!!!

近未来SFもの。

管理社会により爪弾きにされた人間に、「人」以外の存在があてがわれる。その愛し愛される存在にとっての「愛」とはどういったものなのか。この「愛」を描いたSF作品、もうね、最後まで夢中になって読んでしまいましたよ。これは面白い! いろいろなSF作品のいいところを踏襲して混ぜ込んだかのような作風は、SF好きにはたまりません! そして普段SFに触れていない方でも、作品に込められたテーマだけでも読む価値のあるものだと思います。

恋愛SFでこういうのが読みたかった!と思わせてくれる素晴らしい作品。面白かったです。ごちそうさまでした!

★★★ Excellent!!!

アンドロイド好き(ドリ系)の私としては、散りばめられたネタの数々も含めて、大変楽しませて頂きました!

愛とは何か……この永遠のテーマに、本作は簡潔かつ深いところまで切り込んでいるように感じました。
そして、それを可能としたのがアンドロイドなのだろうなと。

本作で描かれる「愛のカタチ」はとても説得力があると思いましたし、正解ではなくとも答えに足るものだったのはないかと思います!

ただ、実のところ本作で一番心惹かれたのは「不可触民」という存在であり、また、なぜそう思ったのかも本作読むことで納得できたのですが、彼らこそ愛や幸福というもの「本当のカタチ」に辿り着くことができる存在なのではないかと思いました。

人はなぜ人以外の生き物、生き物ですらないものに感情移入することができるのか……すなわち、愛することができるのか。

そうせずはいられないほど、人は孤独な存在なのかもしれません。

★★★ Excellent!!!

散りばめられた造語が読み手の感性を動員して世界観を構築する、好奇心を刺激されるSF小説です。

本文はある人物の手記であり、とあるプレゼンの原稿であり、社会性資料であり、あらゆる断片的な情報が抽出されています。

それらのサンプル的要素を読み解き、その時に何が起きたのか、考えるのは読み手です。突き放すほど丁寧に描かれた世界設定と小さな事件の顛末を妄想するのが楽しい読後感でした。

ぜひともこの幸福そうなディストピアな世界観を長編で読んでみたいと思います。

★★ Very Good!!


 人工知能との恋愛の話なんですが。

 たぶん人工知能というのは、ある時突然大発明があって、人間並みになる、わけじゃないと思うんですよ。
 いまの人工無能みたいな、たんに機械的に単語に反応してるだけ、という単純なものから少しずつ進歩して、最終的には人間と同等以上になるけど、どの時点をもって「真の知性」「真の心」を獲得したと見なすかはなんとも言えない……という感じになると思うのです。

 その中間のところ、心があるともないとも言えないところが、特に面白いところだと思うんですよ。

 

★★★ Excellent!!!

作中世界は幸福のために人間関係までも管理される時代。
社会不適合者にはロボ伴侶まであてがってくれると言うのだから素晴らしい。愛し愛される権利を享受できるのですしきっと楽園でしょう。

読後になんとなく想起されたのは押井守の『イノセンス』です。これは人形を小道具にして中年メカおじさんの恋愛を描いた名作で、本作にも通底するものがあると感じました。それは他者への無垢な思いで、ゴテゴテしたSFのガジェット群や底冷えする冴えた文体を越えて読者にまで届いてきます。こういったエモーショナルな叫びが、社会の山巓にぶつかり虚しい木霊が散っていく……未来の非モテやかくあるべし!

しみじみ面白い短編です、あなたも是非!

★★★ Excellent!!!

アンドロイドが導入された未来の日本。幸福度を優先する社会で、人間同士のマッチングも行われている。しかし、そんな未来で、どうしても人や社会と馴染めず、社会に組み込んだ時にエラーとなってしまう異物となる人たちが見つかる。

物語はそんな未来の世界を『手記形式』――それぞれの資料を介するとこで見せるという一風変わった作風なのだが、これがものすごくハマっていて面白かった。

社会にとって異物となった人々のパートナーとして寄り添うアンドロイドたちは、とても優しく、とても従順なのだが、その心の在り方を知った時、あなたはどうするか? という問いが込められていたように思える。現在に置き換えても十分通用する定義がこの物語の中にはあり、とても示唆的で、メタ的といえる。

個人的にはSF好きをニヤリとされるオマージュにやられました。
おもしろかったです!

★★★ Excellent!!!

人間とアンドロイドの恋愛ものです。

6000文字という制限があるため、いいシーンばかり書かれてあり、とても読み応えがあります。

ただそこに至る過程が書けないのは短編の宿命、それでも作者の想像力が補ったシーンの連続でとてもいい読後感を得ることができます。

長編希望ですね! これは!

★★★ Excellent!!!

相性の良い人間が分け隔て暮らしている未来の世界。
その中でどこにも所属出来ない『不可触民』の物語。
不可触民の主人公は愛し合えるAIを伴侶とするが……。

愛とは貰う物ではなく、与える物であるというのは誰の言葉だったか。
それは与えられた愛の真意など分からないからかもしれない。

主人公は誰とも合い寄れない、即ち誰も愛さない人間だったのかな。
そんな人間を愛してくれるのは、水面に映る幻だったのかも。

★★★ Excellent!!!

ネタバレを含みます。ご注意下さい。

題材としているものが、非常に良かった、と思いました。最初はアンドロイドに関することで、頭の回らない僕にはついていくのがやっとでしたが、最後のくだりはそれらをさらっと氷解させます。悲しさが染み渡る作品でした。

★★★ Excellent!!!

恋愛というプライベートにまで社会が介入する、未来の幸福至上主義社会。
人とうまく接することができない人間に、恋人役のアンドロイドがあてがわれることになって――。

「ブレイクスルー前夜の人工知能との恋愛」という設定で、人間の心の在処を探る深い小説でした。
SF的説明に人間ドラマまで詰め込んだ、短編とは思えないほど深い読後感の作品です。

佛という漢字は、人に弗(非、超の意味)と書きます。
お釈迦様も心に囚われるなと言っておられますし、心のない人工知能は、人に非ず人を超えるものなのではないか…。
そんなことを思ってしまいました。

★★★ Excellent!!!

もしもこんな未来世界があったら。
みたいな軽い気持ちで読み始めたのだけれど、なかなかに易しい作品ではなかった。
合理的なようでどこか歪さが見えるコミュニティと、それに混じれない主人公。そしてオートマタ。
何処まで行っても独善的な思考のままの主人公とそれを受け入れ続けたオートマタの生活が、読んでいて幸福でもあり、同時に悲しくもあった。物語の結末はある種のサイコノベルのように考えさせられるののだったので、ぜひ皆様も一読して欲しいと思う。