楽園62 小休止
「ただいま」
はるみが機体を砂浜にうまく着陸させる。滑走路ではないので、ヘリやグライダーみたくゆっくり減速して砂の上に着陸した。
「はるみ」
「はるみさん、おかえりなさい」
「はるちゃんは、命の恩人だわ」
「はるみさん、ありがとう」
早速、彼女は戦利品とも呼べる基地で見つけた手土産を出した。
「手榴弾、機関銃、小銃と使えそうな物をたくさん持ってきたわよ」
彼女が箱からたくさん出してきた。
三八式歩兵銃、九十九式歩兵銃など主力歩兵銃と九十七、九十八、九十九式手榴弾、さらには南部十四年式拳銃などたくさんの武器がどれも旧日本軍の主力だったものだ。
はるみと拓斗は基地でこれらの主力武器を探してきてくれたのだ。
だけど、誰がいない。
「はるみ、拓斗くんは…」
一緒に乗っていた拓斗が、はるみの夫がいなかった。まさか、基地に忘れてきたのか…?
「拓斗は、まさか、はるみさんだけにこんな武器を運ばせたんじゃ?」
翔が心配して言うと、
「拓斗は…」
はるみが口を開いた時、茂みから“バリバリ”と巨大な音がした。
「うわ、出た」
「マンモスに、ギガントピテクス」
「ちっ、またかよ」
マンモス、ギガントピテクス(古代のゴリラ)にメガテリウム、さらには、
「わわ、でっかい鷲に鶏、ダチョウに鷲みたいな白鷺みたいな鳥もいるよ」
「ジャイアントモアにフォロラルコス、ディアトリマだわ。留学中にニュージーランドに旅行した時に博物館で複製された模型を見たわ。ジャイアントモアと同じ巨大な古代鳥は、シンドバッドに登場する怪鳥ロックのモデルになったそうよ」
はるみが、巨大鳥たちを見て叫んだ。
さらには、先程撃退したダイアウルフとサーベルタイガーたちもいた。
もちろん、火傷させられた恨みつらみのこもった眼をして五人を捕捉している。
「ガァ」
「グルル」
「ガオ」
その雄叫びは、いつでもやれるという所だ。
「さあて、団体さんをどうやって倒す?」
「せっかく見つけた銃や手榴弾で迎えてあげましょう」
「よっし」
はるみと麗子が紫電改に乗り、カトレアと博樹、翔の三人は船に戻り古代生物たちと応戦した。
「さあ、出陣よ」
「かかってこい」
マンモスとギガントピテクス、メガテリウムなどの巨体軍団には上空から手榴弾を雨のように落した。カトレアたち船組は、沖合から歩兵銃をお見舞いした。はるみが基地を出る前に油をたっぷりと差してくれていたから、よく撃てた。
ちなみに、使い方は以前拓斗と麗子が最初に基地に入った時に、拓斗が銃や手榴弾、戦闘方法が記載された年少兵が使う軍隊の教科書や資料をこっそり持って帰ってきていたので、彼がわかりやすくメモ書きしてくれていたので操作出来た。
“パン、パパーパン”
七十年前の武器だが保存がよかったのかズレはあまりなく、タイガーとウルフたちを何度も追っ払う。手榴弾も勢いよく爆裂したので古代獣たちは怯んだ。
だが、太古からの競争心からか中々倒れない。どんどん力を出して攻めてくる。
「やだ。どうしよう」
「これじゃ弾の無駄遣いだ」
「にっちもさっちもいかないわ」
もはやこれまでと諦めた時だった。
“ギュルギュル、ブルーン!!!”と密林の奥から謎の轟音とともに巨大な落雷のような衝撃が辺りに響いた。
“ガッシャン!!!!”
その正体が現れた。
「嘘だろう?」
「あれは」
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