端的に言い表すと、これは、奇妙な「呪いの書」を古書店で見つけた男の悲劇です。ですが、その書物に隠されたロジックには、一種目を瞠るべきものが内包されている。それをリズミカルに読ませる一篇でした。単なるホラーとして終わらせるよりも、「呪いの連鎖」を鮮やかに描ききった点を称賛したいです。しかしながらホラー小説としての味わいも深く、「呪いの書」の設定は典型的かつ斬新でした。
とある古本屋でみつけた「呪いの書」。それは信じられないことに本物だった。「笑うせえるすまん」を思い出させるような、ホラー、サスペンス、そして戒めも含まれた内容の濃い作品。あなたがもしこの書をみつけたらそれでも、呪いますか? それとも……。
まさしく人を呪わば…失うものがなにもなくなってからでないと使いこなせないかも。