第六十八話「仲間」
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スキルリング(固定) 腕輪
一つのスキルを使用可能にする。
スキルはランダムで選ばれる。
使用可能スキル
《精霊言語》Lv.☆
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オッドボール二階自室にて、先ほど行われた闘技大会の表彰式で貰った賞品を確認する。
セットされているのは《精霊言語》Lv.☆。
レベルを上げられないのでLv.☆を引けたのは運がいいと言えるが、《精霊言語》とは一体何なのだろうか。
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《精霊言語》Lv.☆
魂を通わせ、精霊と言葉を交わす。
使用者の種族によって効果は変わる。
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詳細はこんな感じ。
変わった結果どうなるんだよ。使用者ヒューマンだと何がどう変わるんだよ。
しかも、魂を通わせると来たもんだ。
魂と言えば、《大狼の魂》とかのレアアイテムも魂だったな。なんだよ、運営は魂好きなのか?
まあ、詳しい効果はよく分からないが、この腕輪をすることでどんな影響があるのかは付けたり外したりすれば分かることだ。
今は、アイテム説明を見るために外している。
付けることで変化があれば、所有者が俺だった場合の影響が分かるはず。
……いざ。
『だからよ、オレがあと何発か当ててりゃ勝てたんだっての! あのワン公の残り体力はほんの少しだったろうが』
『敗因としては、ワタシの思慮が浅かったことが一つ挙げられます。何故、ワタシ達は全員が“
「……やっぱり、トパーズさんもラピスさんも悔しいんですね。わたしも、あの時魔法に当たらなければって考えちゃいます」
『あー、やめだやめ! 今回の負けを次に生かそうってのは分かるけどな、んな
『
『前々から言ってんだろラピス
やはり、聞こえる。今まで聞きたくても聞けなかった声が聞こえている。
今はお前らの言葉、届いてんだよなあ。
この部屋には俺と俺のテイムモンスター三人のみ。どう考えても、ラピスとトパーズが喋っている。
認めたくなかったが、もう、認めざるを得ないのだろう。幻聴だと言い聞かせるのはもうやめようじゃないか。
向き合え、俺のテイムモンスターだろ……!
『あん? なあ、旦那がオレのことずっと見てくんだが。ったく、またオレを見て癒されようって魂胆かよ。ほらよ、これだろ? 毛繕いしてんのがそんなにいいのかね、オレにはケほども分かんねえな』
「……俺の」
『あ? おい、アウィン、旦那が何か言ってっぞ』
「え? お兄ちゃん、どうしたんですか?」
「俺の、トパーズを、返しやがれぇっ!」
認めたくない! 認めたくないが、聞こえる声はまさしく男……!
しかも、無駄にハードボイルドなイケメンボイスってのがまた、なんとも言えずにただただ虚しい!
「お兄ちゃん!? 急にどうしたんですか!?」
『なんだ? オレを返せってどういう意味だ。とうとう壊れちまったか?』
「そう簡単に壊れてたまるかってんだ。トパーズはもしかしたらメスかもしれねえと思ってた俺は現実を受け止めきれねえんだよ!」
『知るか! オレは最初からオスだ! ってか、旦那!? まさか、オレの言葉が通じてんのか?』
残念なことに声質までバッチリ伝わってきてるさ!
あああ、トパーズのことを可愛い可愛いと愛でていたというのに、中身はこんな、こんな……!
「今までのは演技だったのか、トパーズ……!」
『まあ、自分の容姿については自負してっからな。相応の振る舞いしてりゃ女子が群がり抱き上げられるってえ寸法よ』
「お前というやつは……!」
『特に癒香ちゃんはいいぜ、旦那ぁ。あの豊満なバストに全身を包まれてみろ。オレは、生きながらに天国を見たな……』
こんのウサギ野郎……!
なんて羨ま……失敬なやつだ!
とにかく、詳細を聞き出さねばなるまい! 話はそれからだ!
『
「……っ!」
冷たい声が脳に響く。
背筋を駆け上がってくる何か。それは瞬く間に全身を震え上がらせ、指先一つ動かすことも許さない。
『
再び聞こえる冷徹な声。
ソレには感情など含まれない。含まれない、はずなのに、何故だろう怒ってらっしゃる。
『
「ら、ラピス、さん? 何をそんなに怒っていらっしゃるので……?」
『怒る、ですか。どうなのでしょうか。不快ではありましたが。それで、
ダメだ、振り向けない……!
振り向けば恐らく般若がいる!
いや、きっとベッドの上に青いスライムが乗っかってるだけなんだろうが、分かっていても威圧感が凄まじいのだ。
「トパーズ、お、俺の後ろには一体何が」
『や、やめろ。オレに振るんじゃねえ。今のラピス姐に絡まれてんのは旦那だろ。自分で何とかしてくれ……!』
『
「は、はひ! よ、よろしいかと思われますです!」
『そうですか、それは大変喜ばしい情報ですね』
そうだ、今ここで、このタイミングでアウィンに話しかければきっと空気の読まない発言で明るくなるはず!
「アウィ」
『
「うおわぁ!?」
今! 耳元で!
耳元で小さな声が!?
思わず
青い小さな球体。あれは、ラピスの分身?
背筋を駆け上がってきたのは寒気だけじゃなく、ラピスも一緒だったってことなんだろうか。
「凄いっ! 凄いですっ! お兄ちゃん、ラピスさんとトパーズさんの言葉が分かるんですね!? これで皆さん一緒にお話しできちゃいます!」
「アウィン、ワンテンポ遅い。その流れをぶった斬る言葉、もうちょい早目に言ってくれ」
「ほえ? ラピスさん、もしかしてわたし、また何かやってしまったのでしょうか!?」
『アウィン、アナタはそれでいいのです。むしろ、グッジョブでした』
小さな分身と一回り大きな分身を使ってサムズアップを表現するラピス。
無駄に芸が細かいな。
ベッドで何かをやり切ったような満足感を醸し出すラピス。
部屋の隅で震えながら縮こまっているトパーズ。
そして、これから皆でお喋りできることがどれだけ楽しみなのかを嬉しそうに話しているアウィン。
どうやら、俺のテイムモンスター達は思っていた以上に癖の強い奴らだったようだ。
ま、だとしても、それを知ったところで何も変わりはしないな。
トパーズを掴みあげベッドに放り、俺はラピスの隣に腰掛ける。
「ほら、アウィンもこっち来て座れ。折角だ、今までのこととか色々話してみよう」
「お喋り会ですね! 楽しそうです!」
『
今までと何も変わらない。
今まで通り、楽しく極振りを
『おい、旦那! 放り投げるたあ
「野郎に優しくする義理はねえよ」
トパーズへの対応はほんの少しだけ変わるかもしれないがな。
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