幕間

都子の章

「……ドウシテモ、行ってしまうのか」

「ええ。もう決めたの」

「ボクは……、ボクはキミがいないと……」

「大丈夫よ、ハニー・エル。あなたは一人でも……。ごめんなさい、子供扱いして。私よりも何倍も年上だったわね」

「イイヨ……。別に」

「これは、返しておくわね」

「……羽のブローチか。これをキミに渡したのは、いつだっけ? キミは、何組の恋人達に『お幸せに』と言ったんだろうね」

「そうね。もう忘れてしまったわ」

「彼らも、君の事なんて覚えていないよ」

「そうかもね。でも、私はまたここに来るわ。だからサヨナラは言わない、行ってきます」

「なに? 行ってらっしゃいって言ってほしいの? 言わないよ。 言ってやるもんか! ココには…………二度と来るな……」

「…………」



「……おまたせ」

「いいのかい?」

「うん……、いいの」

「!」

「どうかした?」

「いや……。あったかい……、君の手ってこんなに温かかったっけ……」

「ふふ。……行きましょうか」



「ミヤコ!!」



「?」



「…………イヤ」



「…………じゃあね」



「…………」






「………………幸せにね」



 ― 都子の章 了 ―

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