第132話 後悔 9

「木芽くん。事情を話して欲しいんだが」


「はい」


萌はぽつぽつと話し始めた。


「昨日の夜……と言うより今朝早くのことなんですけど、俺、また視えたんです。夢の中で予知夢を視て」


「……すまない。それはどう言う」


「俺にもよくわかりません。ただ視えたことは確かだったんです。岡山を殺したのは星弐だった……。

星弐はあいつを殺した後、自分も死ぬつもりだったみたいです。桂壱にはそれがわかったから。だから今回の件を引き起こしたと言うか…兄さんの身体を奪ったんだと思います」


「……そう、か」


瀬口はどっと、疲れた気がした。そのままどかりと萌の隣に腰を下ろす。

萌は表情の乏しい顔で瀬口を見つめていたけれど、その瞳が不安げに揺れていることに瀬口は気づいた。


「大丈夫。君の言うことだからね、信じているよ。信じてはいるんだがね……君が居れば警察なんて必要ないなぁと思うとね。あはは」


思わず渇いた笑いが漏れる。


「ああ。勘違いしないで欲しいけど、嫌味とかではないんだよ。ただもうひたすらに感嘆していてね。話を遮ってしまってすまない。それで?」

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