第128話 後悔 5
***
瀬口は眠い目を乱暴に
パソコン脇に放ってあったコンビニ袋をがさごそやってブラックコーヒーとエナジードリンクを取り出すと、そのまま部屋の外に出た。
愛用のビールジョッキをキッチンに取りに行く。
そしてその場で二つの缶の中身を同時に注いだ。
蛍光色のクリアイエローがコーヒーと混ざりあって、あっと言う間に泥水の完成だ。
それを引っ掴むと、瀬口はぐっぐっと飲み干した。
「……。ふーっ」
お世辞にも美味いとは言えないが、このブレンドが眠気に一番効くと言うのが長年の警察官生活の中での経験則だった。
一息ついてまた、パソコンとのにらめっこを始める。
調べていたのは当然、星弐の行方だった。
数ヶ月前まで星弐は都内の名門大学に通っていた。
数千人に及ぶ同学年の生徒たちの中でもその聡明さは抜きん出ており、全ての教科で一番良い評価を得ていた……にも関わらずだ。
ある日突然、友人にも何の連絡も無しに大学を休み始めた。
しばらくして休学届を出すのだが、それすら誰にも語らなかったようなのだ。
彼の友人を名乗る多くの学生が、「何故自分にすら言ってくれなかったのか」と嘆いていたらしく、他部署の友人からそれを聞いた瀬口は、これを印象深い話だと感じていた。
気になったのはそれだけではない。星弐の様子がおかしくなった時期と言うのが、兄である桂壱の命日のすぐ後からなのだ。
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