第95話 探せ 13
「あら?この子」
めぐみはジーンズのポケットから自分のスマホを取り出した。
「うん!やっぱり」
そう言ってまた、足をパタパタ言わせてこちらへ戻ってくる。
そして、リョウマの携帯と自分の携帯とを机に並べた。
「あれ、このホーム画ってこの前萌が見せてくれた文化祭の写真だよな?」
どれどれ、と恵一もスマホを覗き込む。いつか京平に撮ってもらった萌とのツーショット写真が待ち受けになっていた。
(うわぁ…萌、かわいそう)
思春期をとっくに通り越した恵一は、さして気にもならないけれど、萌にとっては違うはずだ。
友達の面前で
そんなことにはお構いなしにめぐみはリョウマと話している。
「見たことある? そうなのよー、中学2年の文化祭のときの写真でね。ねぇ、リョウマくん、ここ見て!」
めぐみは人差し指で画面右上部を指した。
その先にはアプリのアイコンしかない。
「え?どこですか?」
「ここ! ほら、『やまねこあつめ』と『SNOWY』の間」
「え?この隙間ですか?」
「じーっ」っと言う効果音が聞こえてきそうな顔でリョウマは画面を眺めた。
持ち上げたスマホと顔がくっつきそうな程接近していく。
けれど突然、「わっ!」と言う大声を上げてスマホを放り投げた。
そして、萌に聞いてきた。
「……この文化祭っていつだった?」
「9月の第二 土曜日、日曜日だったと思うけど。何でそんなこと聞くんだ?」
萌も不思議そうな顔をしている。
「じゃあ、南ヶ丘のけいいち君が自殺したのは?」
「……8月22日、金曜日」
「だよな。さっき調べたもんな」
そして既に自分で拾い上げていた携帯を、萌、恵一、京平に見えるように差し出してきた。
「じゃあ、これ誰……?」
携帯を持つ手が震えている。
リョウマが指した場所には、2年前、萌たちの文化祭が開催される約二か月前に自殺しているはずの「けいいち」の顔があった。
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