第41話 死んでる僕 3
どうする?
救急車を追いかけるか?
でも、もう遠く走り去った後で姿はおろかサイレンの音すら聞こえ無い。
土地勘の無い神奈川では、救急車が向かいそうな近くの病院の心当たりなど、もちろん無い。
今から追いかけるのは不可能だ。
先ほど幼女を見た他に、今いる道に人は居ない。道路の道幅は決して狭く無いし、住宅地の中を走る道路のようなのに。
事故現場まで戻れなくとも、せめて大通りに出れば自分の居場所を把握することが出来るだろうか。
恵一は救急車が走り去った方向とは逆に向かって歩き始めた。
「大丈夫、大丈夫、落ち着け」
自分に言い聞かせる。
大丈夫。ここまでは冷静な判断が出来ているはずだ。
これもあの子のお陰だと思う。幼い頃から側で見守ってきたからこそ、今、冷静になることが出来る。
でなければ、普通は自分が透けている時点で大パニックだろう。
「大丈夫」
ほら、今だって自分にはそんなことを想像して笑う余裕がある。
「…萌」
気づくと名前を呼んでいた。
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