第17話 けーちゃんの貢ぎグセ 5

(え…? 何って…)


わからず周囲を見回すと、地べたに座り込む萌と少年を囲むのは、そのとき既に友人達だけでは無かった。

いぶかしむ様な顔で、眉を顰めた大人達が次々と足を止めて集まってくる。


萌の中で記憶と記憶が繋がらず、混乱のために何も出来ないでいると、突然死角から伸びてきた手に乱暴に振り飛ばされた。


派手に倒れ、しかし、痛みを堪えながらそちらへ身体を向けると、自転車の少年の母親らしい女性が、守るように息子を腕に抱き、物凄い顔でこちらを睨んでいる。


「何するの?!」

彼女が萌を、自分の息子から乱暴に引き剥がしたらしい。

みんなしてまた、同じことを聞く。


(俺にだってわからない!)


母親に抱かれ安心したのか少年は大声で泣き出した。見ると両足のすねのあたりの皮膚が派手に擦りむけている。


でも…。

さっきの怪我はそれどころでは無かったはずだった。

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