救急外来

おそらく昨晩のチク~ンとした時からジワジワ出血したのだろうか?とにかく病院!と言ってもこの日は日曜日。とりあえず三月一日に予約している大学病院の分院に電話すると、この日の救急外来に眼科医はおらず、紹介してもらったのは東京消防局のホットライン!で。。そちらに電話。すると、私が行く筈の大学病院の本院の方に眼科医が居る事と、別の大学病院と紹介されました。ならば同じ大学の方が良いだろうと、電話。。数時間後に予約をとって都心に向かいました。

受付を済ませると、すぐに看護婦さんがやってきてバイタルを取られた。

いつも血圧はどうですか?と聞かれましたので、「ここ数日は上が120くらい、下が80切るくらいですが。。上がる時はガンと瞬間にあがります。。」と答えると、もう一度念の為計りなおします。」で、、計測。「何度計っても150以上あります。このままお待ちください。」と言われました。。

ああ~又薬が効かなくなったのか!と思いました。


救急搬送されてくる患者さんや、その家族のソワソワした動きなどを見ながら

暫くすると名前を呼ばれ診察室へ。。

まず、瞳孔を開く目薬をさされ、この日は救急外来の日で、別館での診察であることから精密機器や画像を撮る機器が無い為、最低限しか見る事が出来ない説明を受けました。一時間程瞳孔が開くまで待たなくてはならない事を言われ、再び待合室のロビーへ向かいました。


待っていると一人の俳優さんが通りかかった。。ふと父の事を思い出す。

父はものすごく有名と言う訳では無かったけれど、あの世界では珍しいくらい、長続きした俳優です。一度もスターだった事も無く、又、世間も認めるこれぞ代表作といった出演作品がある訳ではなかったけれど、それでも頻繁にドラマや旅番組に出ていた時期もあり、まぁしいて言えば晩年は視聴率の高い時代劇で準レギュラーだった事ぐらいが代表作品と言えるのか。。その頃をピークに、それでも今から六年前くらいまではシリーズのドラマに出ていたようだし、そのちょっと前にはNHKの大河(二作品)にも出ていた。。。

こう言った場所に父がいれば「あ!俳優さんだ。」と思われるだけのオーラのあった人です。現実に私が介護に行っていた頃、伊勢丹に同行すれば、ご婦人に声をかけられていたりもしていた事を思い出した。


本当に良く出ていた。。私が父と縁を切り、もう忘れよう。新しく生きなおそうとしていても、ふとテレビを付ければ出てくるのです。即座にチャンネルを変えてもその颯爽とした父の残像が頭に残り、日々のパート先での様々な出来事に翻弄される私と父の姿の落差に押しつぶされそうになり、益々父に対する怒りを募らせていて、そんな夜、私は何時も泣き狂っていた。。。


{あの男。。いつか奈落に落ちればいい。。と。。。。}


あの頃から私は右側の片頭痛に悩まされ、その際、右目をもぎ取って捨てたいくらいの痛みを毎月のように感じていた。。

三年前自分史を書き出してから、嘘のように片頭痛は無くなっていたけれど、

きっと生まれてから起こる不条理続きで、右側の脳(感情)ばかりフルで使っていたから、再び不条理に遭遇した時、右目も悲鳴をあげたくなったのかのしれない。。

昨夜からまだ続く右目の深いところから微かにだけれど脈打つようにズンと響く重みを感じながら、何となく、私の右脳にも右目にも「お疲れさまでした。」と言ってあげたくなった。。


再び診察室に呼ばれ、私の目に光を当てながら機材を通して私の目を診察し終わり、先生は深刻な表情で話し始めました。出血は静脈からのもので、まだ出血は続いているそうです。止血剤を処方される様で、すぐに飲み始める事と、血圧をすぐに下げるようにかかりつけ医に相談する事。大学病院の分院で飛び込みで診察を受けられなくても必ずかかりつけ医に行ってでも明日中に今の状態の画像を撮る事を指示されました。。詳しい事はまだはっきりとはおっしゃらなかったけれど、深刻な状態である事は確かなようでした。お薬を待つ間、一旦外に出て宮本さんの携帯に一報入れておきました。


折り返しの電話で事の顛末を話し、こうなった以上、現場の中だけの問題ではなく、会社の人事に話さなくてはならないという事を理解してもらいました。

「酷い話だね。。僕もきっとお咎めを受けるだろうけれど仕方がない。北尾さんの思うようにしてくれていいです。」との事でした。

私はとにかく明日、大学病院で診てもらえればその結果を。。もし明日はかかりつけ医でしか見てもらえなかった場合は予約が三月一日なのでその診断結果を待ってから人事に電話するという事と、正確な診断結果前ですが、とにかく明日は病院ですし、暫く仕事はお休みになってしまう事の承諾を得て、一旦電話を切りました。


私の病状はきっと深刻なのだろう事を知った訳ですが。何故か、他人事のような、まだ心に出来事が届いていないような不思議な感覚で帰路につきました。

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