介護職にふれ始めて

デイサービスで働き始めて四日目。

資格取得の為の学校を翌月に控え、先行して仕事は始まっている。


最初に覚えねばならないのは、仕事の段取りは勿論、ご利用者様の名前とお顔を覚える事も重要。。。印象に残る人のお顔は数名覚え始めているけれど、印象に残らない人のお顔はまだまだ覚えきれていない。

四日目にして、初めて送迎のお手伝いをして思ったのは、印象に残らない人こそ、こちらの方で注意深く見てあげないといけないのかな~と感じました。デイサービスってそれぞれ要介護レベルによって点数を持たされていて、その点数に応じて国や行政から援助を貰って支払いをする。勿論介護保険の保険料も財源だけれど。。要は一日の費用の負担が個人にとって少なく済むようになっていて、もし、全額個人負担となるとデイサービスを受けられないご家庭も多いのではないか?

それぞれのご家庭を値踏みするというのではなく、例えば、体裁の良い家に住んでいても、送り迎えの家族様の雰囲気などにもよってその利用者様の感情の出し方などの元というものを計り知ることができる場合もある。例えばとても豊かとも思えないアパートに住んでいても暖かな雰囲気を醸し出しているご家庭もある。みんなそれぞれ同じではない。

一日中感情表現も何もかも動きのない利用者様は印象が薄いけれど、それは身体的問題によるのか?他人に負担をかける事を躊躇しているのか?あまり想像はしたくはないけれど、感情を殺されてしまっているのか?それは独居によるのか?家族様によってか?。。。

今日、送り迎えのお手伝いをしてみて、お一人お一人の人生の違いみたいなものの想像が頭の中を駆け巡り、こちら側の仕事をする以前の心構えみたいなものを準備しなくてはいけないのだろうな~と思いました。


初日の時だったか?の出来事。。。

自分の力で食べる事の出来ない方。。

お食事の手伝いをしなくてはならない。

わんこそばじゃあるまいし、「ハイどんどん」とスプーンには次の一口が用意されて、口の中にその一口を押し込む。ベテランさんは噛む動きが止まっていたらほっぺたをマッサージすると噛んだり飲み込んだりするって教えてくれるけれど、私はまだ躊躇してしまう。

そんな中、その利用者様が眠くなると。。口の中に食べ物が残っていて眠ってしまうと誤嚥の危険があるからって、今度は洗面台に連れて行き、入れ歯を外し、口の中を洗浄する。人眠りされたら再び、食事の続き。。。

口に食べ物を入れて。ほっぺをマッサージして。。。

又洗面台へ。。

まったく入れたり出したりの繰り返し。。

私が躊躇してしまうことを相談すると、先輩たちは「慣れるわよ。」と言う。

そんな中、レクリエーションの歌の時間が始まった。

私がみんなの歌に合わせて、その方の耳元で歌ってみると、目が動き、背中が伸びた。顎が動き、飲み込んだ。次のひとさじを用意していると口をポカーンと開けて待っていてくれた。全部とはいかなかったけれど、何回かは食べ進めてくれた。そして又食べなくなる。。。眠そうな表情になる。。。

「どうですか?召し上がってらっしゃいますか?」と先輩がやってきた。。

すると。その方の眉毛が片側だけ吊り上がり、口をぎゅ~っとつむんでいた。「私が続きをやります。」と先輩は言って、私と交代した。

その後、やはり食べなかったらしい。

遠巻きに見ているとほっぺをマッサージされていた。。。。


次の日、食事介助の時、私は小声で再び耳元で歌ってみたが、食べてはくれなかった。おそらく、前日の出来事はビギナーズラックのようなものだったのだと悟った。


介護は中々きれいごとではいかない。本人の希望を計る事も大事だけれど、ご家族様の希望もある。。

{デイサービスのうちに食べさせておいてほしい。。}

{排泄もさせておいてほしい。。}

そうなると、帰宅後の家族様の負担を少なくしておいてあげたい。でも、ご本人は今は食べたくないかもしれない。今は出したくないかもしれない。

コミュニケーションツールである言葉を使えない時。。どうやって希望を引き出すか?


慣れなくてはいけない。けれど慣れすぎたくは無い。

とにかく、覚える事、方法をたくさん手に入れる事。

コミュニケーションの取り方のバリエーションを持つこと。。。

どうする事が一番望ましいのか?答えは出てきそうにはないけれど、考えをやめたらそこ止まりのような気がした。。

介護は奥が深い。。。

はやく知識を身につけたい。

そんなことを始まりの時は考えていた。

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