第7話 インタビューはドッキドキ!

オファーを受けてから2ヶ月後、いよいよ社内報の撮影&取材の日がやってきた。

この日に備え咲良は肩まであった黒髪を明るめのショートカットにし、初めてまつ毛エクステもしてみた。

イメージがだいぶ変わり、周りから

「かわいくなったね」

と言われ、ご満悦。

美容室もまつエクもお値段張るが、どちらもカットモデルと研修用モデルになる代わりに無料でしてもらえた。

ネットで探すとお得な情報がいろいろ手に入るものだ。

お試しキャンペーンや店舗の新人研修モデルなどに参加すると、低価格または無料で美容サービスを受けれるので、お金に余裕がなくてもキレイをあきらめなくて済む。

ー使えるものは使っちゃえ。

これが彼女の信条だ。

現代のシンデレラはたくましく日々生き抜いている。

魔法使いが呪文をかけてくれるわけではないからね。

自分の力で、自分を磨いて輝かせていくのです。

いつか王子様に見初められるその日まで。

…といってもここ数年彼氏の気配もないのだが。

少し気持ち焦るアラサーなのです。


午後3時。

仕事も一段落した頃、控室でインタビューと写真撮影が始まった。

人生初の試みに、胸がドキドキする。

ボイスレコーダーで録音されているので、意識し過ぎて何を話しているのかわからなくなる。

しかしそこはプロ、うまく会話を促し想いを引き出してくれる。

カメラマンもほめ殺しというのか、いい気分にさせてくれて、自然な笑顔に導く。

ついでにホームページ用の写真も撮影しようということになって、ゆかりとちりさも応援に駆けつけた。

お礼に今度おいしいものごちそうするからと、総務人事部の山中に言われ半ば強制的に連れてこられたのだが。

3人で控室でお茶を飲みながら談笑したり、並んで微笑む写真も撮ったり、わきあいあいとしたいい写真が撮れてみんな大喜び。

もちろん仕事風景も載せたいということで、鏡を拭いたり掃除機をかけてるシーンも撮影。

どんな記事になるか楽しみだ。


一週間後。

「先にホームページに写真掲載されてるから」

と山中から連絡があり、仕事の合間スマホで見てみると…。

「わぁ…」

そこには、楽しそうに仕事をする咲良の姿があった。

とびきりの笑顔で、仲間たちと働く自分。

それはあらためてこの会社で、清掃という仕事をしている自分を客観的に見ることができた。

「いい顔してるやん」

自画自賛だが、素直にそう思えた。

決して営業スマイルではない、心からこの仕事を楽しんでいる。

充実した日常が凝縮されているようだった。

テナント様と笑顔であいさつを交わし、仲間と笑いあい、おいしくごはんもおやつも食べて、心地よい疲れとともに眠りにつく、健康的な生活。

ーあぁ、私やっばり今この生活この仕事が、好きなんだな。

写真の中の自分が、教えてくれた。



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